【富士フイルム】2017.3月期決算

言わずと知れた、写真フィルム、映像フィルム大手。インスタントカメラ「チェキ」が欧米で人気。

最近ではそんなフィルム事業をtoC向けヘルスケア事業に転用した事で有名だが、大きい売上はオフィス用の複合機などの事務機器リースや販売を手掛ける富士ゼロックスに依拠。

武田薬品子会社の和光純薬を買収し、完全子会社化。医療機器・医薬品等も手掛ける。

そんな売上2兆円企業にして、毎年度増配という投資家ファーストに見えていた富士フイルムがこの度しでかしました。

複合機の売上などで大きく依存する、優秀な息子、富士ゼロックスが不適切会計(つまり粉飾決算)をしていたとの事。

報道によると、何でも、富士ゼロックスでは、売らんかな、の激しい売上のインセンティヴを利かせた厳しい営業をしていたらしいのです。売上至上主義とまで言わしめるほどの。

資本主義ですから売上を極大化させるために努力するのは認められてしかるべしなんですが、これも行き過ぎると問題。

責任を取る形で、富士ゼロックスの会長だった山本忠人氏が解任。後任に富士フイルム会長の古森重隆氏が兼務する事となった。

古森会長も大分ご高齢ですから、より忙殺される事になるわけです。他に人材はいないのかという別の心配も頭をよぎります。

富士ゼロックスのニュージーランド販売子会社及びオーストラリア販売子会社が複合機リース取引において不正会計を行っており、それの影響額が375億円もの損失となって、当期の決算にインパクトを与えているのだそうです。

山本忠人氏だけでなく、5人のプロパー役員も同時に6月末退任させられる事になっています。

今まで投資家フレンドリーだった当社においてのまさかの不祥事だったもので、これは衝撃的な事件なのですが、幸か不幸か、暴れん坊の東芝が、もっととんでもない金額の減損やらなんやらやらかしてくれていて、悪目立ちしている事から、割とみな、「375億円ぽっちか」と少し感覚がマヒしているようなところがあるのも救いと言えば救い。

東芝に至っては、未だ監査証明が得られず、決算すらリリースできない事に比べると、富士フイルムの不祥事はまあ、「普通の不祥事レヴェル」と感覚的・直観的に見えない事はないです。

富士ゼロックスの海外販社について、よりガヴァナンスを利かせていくしかないところではありますから、大いに猛省して、株主の信用を回復していって欲しいと切望するものです。

以下決算。単位は全て百万円。

 

経営成績

経営成績 売上 営業利益 比率
2017.3 2,322,163 172,281 7.4%
2016.3 2,460,383 174,010 7.1%
2018.3(予) 2,460,000 185,000 7.5%

 

対前期比、売上は138,220百万円の減収。営業利益は1,729百万円の減益。

残念ながら減収減益となってはしまったものの、売上2兆円はご立派。加えて営業利益率は前期の7.1%から7.4%と0.3ポイント改善されている。

不適切会計のゴタゴタがあった割には、いい感じで着地できたのではないでしょうか。

財務数値 前期 比率 当期 比率
売上高 2,115,363 1,992,022
売上原価 1,348,958 63.8% 1,249,237 62.7%
レンタル収入 345,020 330,141
レンタル原価 143,876 41.7% 142,282 43.1%

 

富士フイルムの損益計算書を見ると、なぜか売上からレンタル収入を切り出しています。

これはくだんのリース取引による売上の規模が大きいので敢えてそうしているのでしょうか。

今回の事件でも思いましたが、リース取引会計とは少し複雑すぎやしないかと思っています。

まずオペレーティングリース取引とファイナンスリース取引と種類があって、そのファイナンスリース取引にも更に種類があってそれぞれに会計処理があるのです。

これは簿記論の試験などでも出題されると受験者を悶絶させる事でも有名な複雑極まる仕訳。

仕訳を切るのに、必要な資料が揃っていながら、その勉強ばかりしていた受験生が仕訳を切れない会計処理って何で必要なんだろうと怒りすら覚えます。

リースが実質金融取引だからだ、という理屈らしいですが。

ファイナンスリース取引の基本となる仕訳は以下の通り。

リース投資資産 10,000 買掛金 10,000
Cash 2,500 売上 2,500
売上原価 2,000 リース投資資産 2,000

 

数字はもちろん単純化していますが、まず富士ゼロックスがリース投資資産を10,000円で購入。

それを取引先にリースする。5年契約。

年間の使用料2,500円が取引先から富士ゼロックスに支払われます。

富士ゼロックスはリース資産の減価償却費2,000円を原価に計上。

500円が粗利になりますが、これが金融取引における利息に当たるという考え方ですね。

これだけ見るとさして複雑な仕訳ではないのですが、こんな単純な仕訳には実務でも試験でもまあならない。

所与の条件も複雑ですし。

複雑になる会計処理ゆえに不正に温床になってしまう危険性も内包にしているのです。

金融取引だから、という主張も分かりますが、もっと単純化できないものかといつも思っています。

 

キャッシュフロー&各指標

CF 営業活動 投資活動 財務活動
2017.3 288,619 △ 116,439 111,290
2016.3 228,275 △ 162,116 △ 171,665

 

営業CFは対前期+60,344百万円の増加。ご立派。

でもなんで減益しているのに営業CFはこんなにもプラスになるのかとCF計算書を見てみると、内訳がプラス要因を全てバッファに押し込めてしまっていてわからない。不親切。

ただまあ財政的には何の問題もない。優良企業のままではあるという事です。

各指標
PER 18.3倍
EPS 217.60
PBR 0.91倍
BPS 4,363.91
利回り 1.76%

 

上記したように財政状況は極めて良好。よってPBRが0.91倍。1倍を切っています。

むしろ今は物凄いコンプら違反の会社という感じですが、確かに今まではガヴァナンス利いてなかったんですけど、今後はかなり厳しくなると思います。

それでどうやって利益を伸ばしていくのかという課題はありつつも、実は今は絶好の買い機会と言えない事もないと思うんですよね。

複合機ビジネスとかやりようによってはまだスケールする余地あると思うし、それに毎年度増配企業ですから、投資家フレンドリーは変わらずです。

もう少し下げるなら買いもいいなとウォッチ中です。

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