【キーエンス】2017.3月期決算

工場自動化向け(FA)センサー大手のキーエンス。

変則決算(3/21-6/20&6/21-3/20)でも有名。

なぜ変則決算を適用しているかと言うと、毎年度法人税法が変更される影響です。

法人税法が変更されて、税率などが下がると、その変更は大体、4/1から始まる事業年度からの適用となります。

ところがキーエンスは事業年度の始まりの日が3/21であるため、その税率の恩恵を受けられるのが、1事業年度まるまる遅れてしまうという税金キャッシュフロー上の弊害を抱えており、それをヘッジするために、3か月間と9か月間の事業年度を運用するという変則決算を採用しているのです。

これは違法でも何でもない、合法節税となります。

節税は合法ならば、もちろんステークホルダーとしては、何も言う事はないのですが、ただ困るのは、経営成績の期間比較が不便という事でしょうか。

3か月間と9か月間の決算を比較しても、大した有用性はないですから、はっきり言って、既存の決算短信や有価証券報告書のフォーマットでは、投資家に有用な情報を提供できているとは言いにくい、というか、決算短信とかの意味が半減しているとは感じます。

決算期を4/1-3/31に変更してくれれば良さそうなものですが、既存の取引先等との関係からそれはできそうにないらしいです。

以下決算短信の情報。単位は全て百万円。

 

経営成績

経営成績 売上 営業利益 比率
2017.3 316,347 169,750 53.7%
2016.6 96,352 49,160 51.0%
2017.3(計) 412,699 218,910 53.0%

 

経営成績 売上 営業利益 比率
2016.3 291,232 155,468 53.4%
2015.6 88,050 45,841 52.1%
2016.3(計) 379,282 201,309 53.1%

 

変則決算なので分かりにくいですが、実質的な経営成績は事業年度を1年で区切った方が分かりやすい。

すると対前期比、売上は33,417百万円の増収。営業利益は、17,601百万円の増益。

その成長率もさることながら、何よりすごいのが、その営業利益率。

なんと脅威の53%超えなのです。これは普通の製造業では普通あり得ない数値。

なぜこんなに高い利益率を堅持できるのかと言うと、以下2点の経営上の施策が正しくワークしているからなのだと思われます。

・営業スタッフがコンサル的に顧客の生産現場に入り込み、現場のニーズを吸い上げる形で、FAを導入している。ゆえに、顧客にピッタリマッチしたカスタムメイドで、高品質、高価格のFAを提供する事ができ、顧客満足度の高い製品やサーヴィスをウリにしている。つまり当社の営業が目茶目茶に優秀だと言う事。

・工場を持たないファブレス企業。工場建物や機械装置の減価償却などの原価を極小化するマネジメントで原価率をかなり低めに抑えている。またファブレス企業ゆえの強みとして、半導体・液晶・自動車・食品など幅広い業態に対応できるために営業の裾野が広く、高い次元でのリスクヘッジを可能としている。

以上の理由から、キーエンスはこのとんでもない利益をたたき出しているわけです。

要は超優秀な社員と優秀な経営のマネジメントが奇跡的に融合している稀有な会社と言う事ができるでしょう。

財務数値 当期 構成比
売上高 412,699
売上原価 79,349 19.2%
販管費 114,438 27.7%

 

それが証拠に、原価率が19.2%の20%割れ。

超優秀な営業に高い報酬を払っても、販管費率は27.7%

誰が見ても、文句のつけようのない決算と言えるでしょう。変則決算でさえなければどんなにいいか。

 

地域セグメント&キャッシュフロー&各指標

地域売上 当期 構成比
国内 206,323 49.994%
海外 206,374 50.006%
合計 412,699 100.0%

 

高い利益率もさることながら、すごいのはその地域セグメント。

なんと、国内と海外の比率がほとんど半々なんです。

半々になったのは偶然なのでしょうが、とてつもないバランスの良さと言わざるを得ません。

国内でも海外でも高く評価されており、国内、海外どちらにも依存しているわけではないという事の象徴的な数値。

リスクヘッジ経営のお手本を見るようです。

CF 営業活動 投資活動 財務活動
2017.3 121,660 △ 78,254 △ 3,484
2016.6 21,206 203,501 △ 9,106
2017.3(計) 142,866 125,247 △ 12,590

 

営業CFが黒字なのは当然として、投資CFも黒字。投資も上手いのか、この会社は。。という感じ。

加えて財務CF。

上記したようにファブレスですから、工場や機械装置を自前では持たない。

だから大きな借金はしない経営なんですよね。もしやこのまま借金を全額返済し、無借金企業にでもなってしまうのでしょうか。

財務的にも完全無欠に近づこうとしているのかもしれません。

各指標
PER 35.16倍
EPS 1,398.00
PBR 5.03倍
BPS 9,768.26
利回り 0.20%

 

PERが35.16倍。PBRが5.03倍。

決して割安感はない。みんな、キーエンスが超優良企業だというのはもう気づいていますから。

この状況で私なら買わないかなとは思いますが、PER35.16倍でも、買って損はないんじゃないかなと思わせるだけの何かを持っている会社ではある。

実は最初、決算数値を見た時、売上が4,000億円と聞き、最初に感じたのは、「少ないな」という事でした。

キーエンスというネームヴァリューから鑑みるに、もう既に2~3兆円の売上を確保していると思っていたので。

ところが決算内容を見て、そのとてつもない営業利益率を見るとなんとなく納得。

当社は過大な売上の規模の増大は狙わずに、利益率の高い仕事を着実に増やしているんだなという事が分かりました。

モノづくり大国日本の面目躍如というか、日本が世界に誇るべき超優良企業という事ですね。

安くなる可能性は低いですが、いつか買ってみたいなあとは思います。

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