【東日本旅客鉄道】2017.3月期決算

JR東日本。

山手線や横須賀戦、京浜東北線に南武線、総武線、湘南新宿ライン、埼京線、京葉線。

はたまた東北新幹線、北陸新幹線、上越新幹線、北海道新幹線、山形新幹線、成田エクスプレスなどの新幹線・特急線を擁する一大交通インフラです。

西日本や東海地方の交通インフラの支配者が東海旅客鉄道だとすれば、東の雄はこの東日本旅客鉄道でしょう。

それゆえこの2社間の縄張り争いも熾烈を極めています。

この旧国鉄2社の無益な縄張り争いでユーザーが不便を強いられている面も多々あり、言ってみれば、民間の利用者フレンドリー企業ではなく、官僚組織の出先機関みたいなもんです。

民間の皮をかぶった国土交通省とも言えるでしょう。以下、数値は全て単位百万円。

 

経営成績

経営成績 売上 営業利益 比率
2017.3 2,880,802 466,309 16.2%
2016.3 2,867,199 487,821 17.0%
2018.3(予) 2,930,000 472,000 16.1%

 

売上は対前期比+13,603百万円の増収。売上だけ見れば、JR東海よりも1兆円以上大きい。

ただ営業利益は△21,512百万円。新幹線鉄道大規模改修引当金繰入が24,000百万円費用計上されていたりの影響だそう。

それでも利益率16.2%はまあすごい数字。規制に守られた交通インフラで競合もろくにいないので当然と言えば当然なのですが。

ちなみにJR東海の利益率は35.3%

消費者の立場から見れば、東海新幹線の方が、利用料金はかなり高めに設定されているようです。

財務数値 前期 比率 当期 比率
売上高 2,867,199 2,880,802
売上原価 1,841,025 64.2% 1,852,221 64.3%
販管費 538,352 18.8% 562,271 19.5%

 

原価率は64.3%、前期とほぼ変わりなし。

鉄道会社の原価ってなんなんでしょうね。

運転士の人件費とか、燃料費とか、車体のメンテナンス費用とかでしょうか。

ちなみにJR東海の原価率は54.3%、どっちも放っといても電車に乗る人は減らないのですから、ボロ儲けです。

これが規制インフラビジネスの強さですね。

 

セグメント情報

セグメント売上 前期 当期 増減
運輸 1,954,587 1,959,805 5,218
駅スペース活用 399,960 399,678 △ 282
ショッピング・オフィス 255,978 267,638 11,660
その他 256,673 253,680 △ 2,993

 

運輸事業がもちろん主業。構成比は68.0%、それほど依存度が高くない事に驚きます。

JR東海は77.8%だったので、それと比べても、運輸依存度が低い。

JR東海よりも経営的にリスクヘッジできていると言えます。

しかし、このセグメント情報には不満あり。

普通、投資家として気になるのは運輸業の内訳だと思います。

山手線の運輸業に占めるシェアは?横須賀戦は、京浜東北線はどうなのか。西武線、埼京線はどうか。

それを運輸業でひとまとめにしている、JR東のIRのセンスのなさには恐れ入ります。

駅スペース活用とか、ショッピング・オフィスとかまああったらあったでいいのですが、そんな数字ではなく、運輸業の内訳こそ知りたいんですよ。

やっぱりお役所仕事という評価になりますかね。

セグメント利益 前期 当期 増減
運輸 348,576 326,419 △ 22,157
駅スペース活用 35,099 32,990 △ 2,109
ショッピング・オフィス 71,610 75,032 3,422
その他 35,025 34,978 △ 47

 

セグメント利益にしてもそうです。

対前期比で△22,157百万円となっています。これは上記したように、新幹線の大規模補修の引当金を積んだ影響ですが、じゃあそれでは沿線セグメントではどこがこんな大赤字になっているのか。

北越新幹線はどれくらい利益を出したのか。東北新幹線は、上越新幹線はどうか。

話題の北海道新幹線の利益率はどうなっているのか。知りたいのはそこでしょうに。

こんなセグメントを短信に出して、お茶を濁しているあたり、投資家の事なんてどうでもいいと思っている事が透けて見えるわけです。

規制ビジネスですから、消費者や投資家なんて割とどうでもよくて、お上の方ばかり見ているのでしょう。

民間でなく役所なのでそれはさもありなんなのですが、お上の方ばかり向いて仕事をしたらいずれ消費者や投資家にもそっぽを向かれます。

今は競合がいないので、平気ですが、例えば自動運転者だとか、LCC、タクシーなどの競合が実用化や規制緩和されてきたら、こんな硬直的な経営ではパイを食われるのは当然だと思うし、そんな風に、適切な経済活動によって淘汰されるべき性格の企業だとも思います。

 

キャッシュフロー&各指標

CF 営業活動 投資活動 財務活動
2017.3 652,906 △ 557,538 △ 116,280
2016.3 673,109 △ 499,575 △ 110,265

 

対前期比で減益はしていましたが、その原因は大規模新幹線補修に係る引当金繰入でした。

なので、この24,000百万円自体に関して言えば、営業CFに影響はありません。

それでも営業CFが20,203百万円も減少してしまっているのは、大きな要因としては、法人税等の支払いによるキャッシュアウトが大きいようです。

投資活動のキャッシュフローも支出額が57,963百万円も増えています。

これは災害対策の補修工事などの支出が大きいようです。

そう言えば、最近の報道で、山手線車内にキャメラを設置するというニュースがありました。

痴漢対策だとか、テロ対策だとか色々憶測を呼んでいますが、本当に効果あるんでしょうか。

テロをするような死の決意を抱いた人間がたかが監視キャメラの存在だけで、その暴力を思いとどまると本気で考えているのでしょうかね。

それよりも、JR東はさっさとホームドア設置に投資を行うべきなのです。

今でも、しょっちゅう人身事故で電車が止まります。これはホームドアがあればヘッジできたケースはかなり多いでしょう。

しかし投資金額の大きさに二の足を踏んでいるのが現状。これはいわば、電車が遅れる事などの交通インフラとしての信頼性を担保できていない、重大なモラルハザードとも言える経営の怠慢、不作為だと言えます。

何より尊い人命が失われています。何よりまず、鉄道会社が投資しなければいけないのは、そんな人命にかかわる投資だと思うのに、色々と理由をつけては、ホームドアの設置をしようとしません。

これは交通インフラとしての責務を放棄した殺戮行為と言うと言いすぎでしょうか。

表現はともかく、JR東としては、過大な役員報酬にキャッシュアウトする余裕があるなら、さっさとホームドア設置を行うべきでしょう。人の命がかかっているのです。これは何にも先んじるべき性格の投資です。

 

各指標
PER 14.75倍
EPS 734.40
PBR 1.59倍
BPS 6,825.51
利回り 1.29%

 

PER、PBR共に、割高という感じはしないです。

純利益も純資産も大きいですから。

しかしライヴァルのJR東海と比べると、若干割高。

BPSに至っては半分くらいの規模しかありません。

利回りはドケチの東海よりはさすがにマシですが。

思ったほど割高感はないとは言え、もっと極端に安くならなければ買わないでしょう。

なぜならスケールする未来が思い描けない。もうとっくに成熟しているわけですから。

そういう意味で、もし投資余力があるならば、JR東や東海ではなく、もっと若い必死で顧客の方を向いている、健全な民間企業に投資しようと思っています。

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