ヤマト決算短信リリース

ドライヴァーの人手不足などで何かと話題のヤマト。
今朝も10,000人の労働者を160億円かけて雇うという計画をリリースしており、現場のシビアな労働環境を思わせます。
そんなヤマトの決算短信がリリースされました。

ヤマト(単位:百万円) 売上高 営業利益 対前期
2017.3

(当期)

1,466,852

34,885

△49.1%

2016.3

(前期)

1,416,413

68,540

 
2018.3

(予算)

1,470,000

30,000

 

 

下はキャッシュフロー。

ヤマト(単位:百万円) 営業活動 投資活動 財務活動
2017.3

(当期)

73,324

△73,999

△18,777

2016.3

(前期)

49,715

△30,230

△16,833

 

売上高は対前期において、+50,439百万円。+3.5%

にも関わらず、営業利益は、△33,655百万円。△49.1%

営業利益は大減益にも関わらず、営業CFは+23,609。+47.4%

増収しているにも関わらず、大減益。

大減益にも関わらずキャッシュフローは大幅増加。

なぜこんな現象が生じるのか。

 

なぜ営業利益が大幅減少したか。

ヤマトの主力事業であるデリバリー事業の取扱高を見てみる。(単位:百万個)

取扱高 宅急便 クロネコDM便
2017.3

(当期)

1,867

1,542

2016.3

(前期)

1,731

1,536

 

宅急便、クロネコDM便、共に、増加しています。

取扱高が増えたのだから、当然、売上高も増えているわけですが、取扱高の上昇率と比較すると収益の伸び率は鈍い。これはなぜか。

ヤマトがAmazonにボリュームディスカウントしているからです。

日本全体の宅配便の個数は全体で39億個にも上るそうですが、その内の15%、およそ2.5億個はAmazonなのだそうです。

それだけでかいパイですから、かなり値引きしているそうで、何でも通常料金の80%引きとも聞いています。

宅急便事業だけ見ると、収益は1兆1,510億28百万円で対前期+3.5%なのですが、利益は今言ったような、Amazonのボリュームディスカウントや、人手不足に伴う、外部人的コスト増、未払残業代負担などがたたって、56億38百万円。
△85.2%の大減益になってしまったのです。

大手ECのボリュームディスカントに加え、人的コスト増が当期の大減益の理由なのです。

 

大減益なのになぜ営業CFは黒字なのか。

では、対前期でそこまで減益だったにも関わらずなぜ、キャッシュフローはポジティヴなのか。

全体的にキャッシュフローは+236億円となっています。

営業CFの計算方法としては、営業利益に減価償却費や引当金などの資金が流出しない費用を足しこんで求めますが、当期のヤマトのCF計算書を見てみます。(抜粋です)

ヤマト(単位:百万円) 2016.3 2017.3 増減
純利益

68,078

33,037

△35,041

賞与引当金

443

1,283

+840

持分法投資損益

799

+799

特別給付賃金引当金

15,129

+15,129

仕入債務

△9,137

7,454

+16,591

その他

△15,810

14,353

+30,163

 

ここでまず目に付くのが特別給付賃金引当金。

当期に繰り入れているわけですが、これは、翌期以降に支払っていく、未払残業代分なのではないでしょうか。

発生が確認されたのは当期なので、当期の費用として計上しなければいけないのですが、キャッシュアウト自体は翌期以降なので、これは費用ではあるけれど、キャッシュフロー上はアウトしていないので、+15,129百万円という事ですね。

次に引っ掛かるのが、仕入債務の+16,591百万円。

これはおそらく、下請けの宅配業者に対する支払分なのでしょう。

今までは、ヤマトのセールスドライヴァーは自社の社員でそのほとんどを賄えていました。

すると当然、その人件費は当月締めの翌月払いになるわけで、支払サイトは早いです。

一方、これがBtoBになると、この支払サイトが2か月とか3か月になるのではないでしょうか。

自社社員のドライヴァーではカヴァーしきれない分の宅配が外部の下請け業者に多くなれば多くなるほど、仕入債務は増大します。

自社社員の給料支払いサイトと、外部業者への支払いサイトの違いがここで16,591百万円という資金繰りのプラスを導いたのではないかと推測できます。

そして最後に目につくのが、「その他」の30,163百万円ですね。

これはヤマトが投資家をナメている証拠をまざまざと突き付けている財務諸表となります。

300億円も営業CFをポジティヴにしている要因を「その他」で片づけていいと思いますか?

ある意味、一番大事な財務諸表とも言える営業CFで、こんな杜撰な管理とリリースをしているヤマト。

その他で300億円ものキャッシュインフローを詳らかにしない会社には、投資したくないと心から思いました。

一方投資活動のCFでも200億円以上のキャッシュアウトが。

投資有価証券が2016.3月期は1,169百万円だったのが、2017.3月期には21,693百万円と大きく増やしています。

一体何の有価証券を購入したのか。

ヤマトは有価証券報告書では、ここもきちんとブレイクダウンし、投資家に説明をすべきでしょう。

 

セグメント売上

最後にセグメント売上。

セグメント(単位:百万円) 売上 利益
デリバリー

1,151,028

5,638

BIZ-ロジ

108,643

4,072

ホームコンビニエンス

49,163

1,076

e-ビジネス

45,639

9,308

フィナンシャル

77,885

8,243

オートワークス

24,613

3,273

その他

9,777

35,477

 

特筆すべきは主力事業であるデリバリーの利益率の低さですね。0.49%

一方、企業向け宅配サービスのBIZ-ロジはデリバリーよりはマシな利益率。3.7%

かなりいいのがe-ビジネスの利益率ですね。20.3%にも及びます。

次いでフィナンシャル事業もなかなか良い。10.5%

しかし、e-ビジネスやフィナンシャル事業の高い利益率も宅配ビジネスの知見あったらばこそ。

やはりヤマトの生命線は宅配デリバリービジネスのシェアをどう高く保ったまま、利益率を上げられるかというところが大きな経営課題になっています。

ロボや自動化などの省力化イノヴェイション、オープン型宅配ロッカーなどにも努めているようですが、この過渡期にどれほど先進技術でブレイクスルーできるか。

きちんと市場と向き合い、結果を出して行って欲しいものです。

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