ルネサスの経営が役所から手離れしつつあるらしい。

半導体大手のルネサスエレクトロニクスが経営再建が完了したという事で、およそ7割出資をしている産業革新機構がその2割弱の持ち分を売却予定であるという報道があった。3,500億円相当の売却額との事。

この売却がスムーズにいけば、産業革新機構の売却益は3,000億円以上にも上るという。

近来稀に見る、官業による再建の成功事例と言えるのだろうか。

 

そもそもなぜルネサスは経営危機に陥ったか。

2010年4月にルネサステクノロジとNECエレクトロニクスが経営統合し、ルネサスエレクトロニクスが誕生しました。

しかし統合後間もなく、2011年3月11日に、あの東日本大震災が発生。

ルネサスの主力工場だった那珂工場が被害を受け、「マイコン」の供給が滞る経営危機に直面しました。

そんな折に、産業革新機構とトヨタ自動車を筆頭とするコンソーシアムでルネサスに出資する案が2012年9月頃に浮上します。

その後経営再建の為に7,500名の人員削減などを断行し、その努力を評価する形で、2013年9月、産業革新機構が約1,400億円出資。有志企業によるコンソーシアムが116億円の出資を行います。

そして、2015年3月期決算においては見事黒字達成。

2016年9月には、米インターシル買収発表、2017年2月に買収を実現させるなど、目覚ましい再建を遂げたという経緯です。

世界マイコンはトップシェアの2割。2016年12月期には純利益が441億円。

 

本当に産業革新機構案件で良かったのか。

産業革新機構の現在の持ち分比率は69.2%

これを20%弱程度売却予定という事なので、役所が経営から離れて行くのはいい流れのように見えます。

しかし、産業革新機構で本当に良かったのか。

というのが、実は、元々、ルネサスが経営危機に陥った時に、KKRというアメリカのファンドが支援する予定だったそうです。

KKRが1,000億円程度の出資をするところで、日本企業から横やりが入った。それがどうもトヨタらしいのですが。

トヨタとしては、KKRがルネサスを再建させ、中国をはじめとしたアジアに売却され、技術が流出する事を恐れたらしく、待ったをかけたのです。

産業革新機構からは1,400億円を出資させ、トヨタを筆頭としたコンソーシアムが116億5,000万円の出資を行います。

この内訳は下記の通り。

トヨタ  50億
日産   30億
ケーヒン 10億
デンソー 10億
キヤノン  5億
ニコン   5億
パナソニック 5億
安川電機 1.5億

これで日系企業コンソーシアムの持ち分比率は5.82%になった。

こうして官民合同で、ルネサスという会社を囲い込んでいたのが実情だったらしいのです。

ルネサスとしては守られて安心安全だったのでしょうが、産業革新機構は官製ファンドですから、その原資は税金です。

知らず知らずのうちに、我々の税金がルネサスを守るために利用されていたという事です。

もし当初の予定通り、KKRの出資を受け入れていたらどうだったでしょうか。

我々の税金は危険に晒されず、もしかしたらセンスのない役人が経営にタッチするよりルネサスの再建はもっとグレードアップしていたかもしれないです。

それに産業革新機構は1,400億円の出資の20%を売却して、3,500億円を得ようとしています。

1,400億円×20%=280億円。

取得価額280億円のルネサス株を3,500億円で売るわけですが、これはもう一種の税金なのではないかと思います。

役所や大企業がでしゃばってまでするような再建だったのか、果たして疑問の残るマターと言えるでしょう。

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