JTがいかにして利益を確保しているか。

私は嫌煙家でタバコが大嫌いだが、それはそれとして、JTの経営努力には敬意を表さざるを得ない。

JTの国内タバコ販売のシェアは以下の通り。
2008年度 65%
2011年度 60%
そして大体このシェアで今に至るという感じらしいです。

JTの国内タバコ販売本数の推移は以下の通り。
2008年度 1,600億本
2014年度  820億本(消費増税の影響による)
2016年度 1,062億本

激減している。これでは経営的にとてつもない打撃だろうな、と素人でも推測できるのですが。
JTの営業利益は以下の通りという事らしい。
2008年度 1,882億円
2016年度 2,602億円
逆に720億円も増額しているという。

すごい経営努力があるわけですね。

 

固定費である人件費圧縮効果

まず着手したのが一番販管費削減効果のある人件費。

人件費というのは固定費です。一度給料を上げたら下げるのは不利益変更と言って容易ではありません。

よって、売上が増えようが減ろうが、人件費というのはさほど変動がない、それゆえ固定費と呼ばれているわけです。

売上が増えたら、仕事も増えるわけで、人を増やしたり、人件費を増額したりするのは社会的にもポジティヴだし、抵抗がありません。

しかし、売上が減った時は企業は大変です。
人を辞めさせたり、給料を下げたりという事は逆に滅茶苦茶難しいからです。

欧米型の雇用体系ならば、割と人の出入りが自由。
仕事がない方から、ある方へ移動すればいいわけで、企業は売上が減ったら、人を減らせばいい話なのですが、日本型雇用体系は違う。

暗黙の雇用規制があって、従業員をクビにはせずに守らなくてはいけないという企業の活動規範があるわけです。

収益が落ち込んだと言う理由で、企業は解雇をしても法的には許されるのですが、日本という社会では、それが倫理的に許されない事だと思われているわけです。

しかし、すぐ辞めさせられるという事は、すぐに雇用できるという事でもある。

企業は、解雇規制があるためにすぐ人を辞めさせられないから、自然と、雇用にも二の足を踏んでしまうわけです。

それで過重な固定費の捻出に疲弊し、会社が傾いてしまうという悪循環。

しかしJTはそんな人件費削減を断行したわけですね。言うは易し行うは難しです。

やるしかない人件費削減はやるという決意が見えます。
実際、解雇規制によって、企業が人を切れない事で、企業がつぶれてしまう事は、企業だけではなく、そこで働くサラリーマンの首を絞める事になるわけです。

JTは国内タバコ部門の人員を以下の通り削減しました。
2010年度 7,650人 → 2015年度 6,020人。
かなり大胆な人員整理ですが、これで人件費を削減して、会社を筋肉質にしたわけです。

経営として間違っているとは思えません。

 

タバコ販売店への協賛金(販促費)の削減

タバコメーカーはタバコ販売店に対して、販促費という名目で、協賛金を払っているという事です。

この協賛金を払う事で、自社のタバコを販売店に優先的に売り出してもらうなどの販売促進効果があるわけです。

この協賛金を削減したのではないかという論考がありました。
JTの販促費の動きは以下の通り。

2008年度 1,623億円 → 2015年度 1,202億円

この現象が全て協賛金の削減によるものかどうかはわかりませんが、人件費の次にボリュームが大きく、削減余地のある販促費にJTは目を付けたのでしょう。

実際タバコ販売店は減少しているそうです。

2009年度には29.3万店あったタバコ販売店は2015年度には25.8万店にまで減少しているそうです。

タバコの販売がコンビニや自動販売機に取って代わられているという事ですね。

よって、JTはタバコ販売店などに協賛金などを払う販促方法を見直し、販管費の圧縮を図ったのではないかという推測が成り立っているわけですね。

 

まとめ

上記したようにボリュームゾーンとしては、人件費と販促費の削減を推し進め、収益の減少にも関わらず利益の出る筋肉質の会社にブラッシュアップしているという点で、JTの経営は優秀だと思います。

今後は、加熱式タバコ(プルームテック)の販売シェアをどれほど伸ばしていけるのか、といった外資との競争などにさらされるわけですが、こういう企業文化があれば、乗り切れるのではないかと思料するものです。

タバコのような健康被害の出る嗜好品は今後も規制してもらいたいと思いますが、加熱式タバコなどで健康被害が出ないのならば、加熱式タバコは規制の対象になりえず、「プルームテック」のマーケティング次第では、JTはますます発展するのびしろを秘めているのかもしれません。

紙巻きたばこがなくなっていく過渡期。JTには紙巻きたばこをなくすという努力も含めて頑張って欲しいと思っています。

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