年金財政の安定化のために

出口治明先生の書かれた表題のご著書の紹介。これまたすごくいい事を書いてあるので、記す。

出口先生はこれまでご著書で、
「残業禁止」と「定年制の廃止」を訴えてこられたが、もうひとつ。
「公的年金保険の適用拡大」も唱えておられます。

元々、「国民皆保険・皆年金」とは高度経済成長の真っただ中1961年に制度化されている。

年金には3種類あって、
国民年金、厚生年金、そして共済年金があります。これは給付が少ない順番に並んでいます。

国民年金とは個人事業主のための年金です。
70歳とか80歳になっても、個人事業主に定年退職はないので、少ない年金でも生活できるであろう事が見込まれ施政されています。

厚生年金とはいわゆる被雇用者、サラリーマンのための年金です。
サラリーマンは60歳とか65歳で事実上、定年退職しますので、収入がいきなりゼロになる。
そんなサラリーマンの退職後の生活を担保するのが厚生年金です。

共済年金とは公務員の年金です。公務員もサラリーマンと同様定年退職がありますから、退職後の生活を保全するために公務員用の年金を組成しています。
これが更生年金と比べてべらぼうに多い。法律を作る公務員側の論理で組成されていますから。

厚生年金は保険料は被雇用者と企業が折半して払います。

一方パートやアルバイトなどの1週間に30時間以上働かない人たちは全員国民年金です。
企業はパートやアルバイトを雇えば、社会保険料を半分負担しなくてすむのです。

出口先生はパートやアルバイトなどの社会的弱者をこそ、厚生年金に移行させて、働けなくなってからの生活を保障すべしと提言しています。

厚生労働省によると、1か月に5.8万円以上の給与をもらっている人をすべて厚生年金に移行するとおよそ1,200万人が厚生年金に移行するということです。

これは年金保険料を納付する人間が1,200万人増加する事をも意味するので、年金財政安定にも寄与するのです。

歴史に造詣の深い出口先生はドイツのシュレーダー首相の例を引いておられます。

シュレーダーは正規社員の負担は雇用者と労働者で5:5にしたのですが、
パートやアルバイトなどの非正規雇用者については、雇用者負担を増加させたのです。

社会保険料の負担があると、企業としては社会保険料を負担したくないので、負担をしなくてもいい、パートやアルバイトを雇って使い捨てするというインセンティヴが発生します。
シュレーダーはこの人間を使い捨てする社会の在り方に疑問を呈して、非正規雇用者の社会保険料負担増を企業に課したわけです。

当然企業から猛反発があります。しかしシュレーダーはその反発をこう退けたらしいです。
「社会保険料が支払えないような企業が生き残るビジネスモデルはつくってはいけない。社会保険料が払えない企業は退場してもらって結構だ」と。

シュレーダーはこの改革を実行後、政権から降りたそうですが、改革は断行しました。
要は施政者にやる気さえあれば、経済界から反発があったとしても、改革は実行できるという好例でしょうね。

もし厚生年金保険料の適用拡大が実現すると、第三号被保険者。つまり専業主婦ですね。
この第三号被保険者1,000万人が厚生年金に移行する事になります。
月に6万円程度の収入を得ているパートタイマーの主婦は多いですから。

そうすると自然と第三号被保険者という制度がなくなっていきます。
これは元々は高度経済成長時代の遺物ですから、制度疲労を起こしてきていますから。

このように「残業禁止」「定年制廃止」「社会保険適用拡大」を実行すれば、今の社会の実情に合ってくるというのが出口先生のお考えで、これは全くその通りとアグリーするものです。

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