東芝がついに「WH破産申請」今後どうなるか。

東芝の米原子力子会社ウェスチングハウス(WH)が3月28日、米連邦破産法11条の適用を申請すると報道がありました。
東芝は経営再建に向けて、アメリカの原子力事業から撤退することになるのだそうです。
しかし、事はそう簡単そうではなさそうです。
元々そんな簡単に損切りできるならとっくに、それこそ6年前の原発事故が起こった時くらいに損切りしていたでしょうという話もある。
そこまでの経営判断が現東芝の経営陣ではできなかったとする辛辣な意見もよく耳にするが。
もう決算月である3月も末。年度決算の準備におおわらわな筈のこの時期に、東芝はまだ第三四半期の決算すらリリースできていません。
リリースされているのは、WHがらみの減損損失が7,125億円になるという事くらいである。

減損損失+債務保証損失引当金繰入=1兆5,000億円

WHの破産申請により、東芝が債務保証損失引当金を繰り入れる蓋然性が高くなった。
毀損の減損損失7,000億円に加えおよそ8,000億円規模の債務保証損失で1兆5,000億円。
債務保証損失とは、WHが返済できなくなった債務を東芝が代わりに弁済するという事。
仕訳としては、
当決算にて、
・債務保証損失引当金繰入 8,000 / 債務保証損失引当金 8,000
実際に債務を弁済した場合に、
・債務保証損失引当金 8,000 / 現金預金 8,000
WHが破産するわけだから、債務保証の事実が当決算期内に発生している。
この引当金の繰入はマストだろう。

原発を完成引渡しできなかった損害補償損失引当金はいくら積めばよいか?

減損損失と債務保証損失引当金繰入の合計1兆5,000億円で済めばまだいいが、原発を完成させられなかった損害補償損失に係る引当金も積む必要がありそうです。
損害賠償の金額がいくらになるかですが、これを正確に見積もり・測定するのはかなり難しそうです。
一体いくら積めばいいか現時点では検討もつかないから、えいやっとかなり保守的な金額を監査法人としては積みたいはずでしょう。
電力会社等に対する損害賠償の金額を決めるのは結局裁判とかになるのではないでしょうか。
その損害賠償額にしたって、電力会社が計算するのでしょうから、一体いくらになるのか、検討もつかないという事です。
債務保証のみならず、損害賠償の保証まで契約に取り付けられていたとは何とも日本人の経営者というのはナイーヴなものだと世界に喧伝して回っているようなものです。

LNG(液化天然ガス)関係の損失も発生可能性が大きい

東芝は、「天然ガスに関する契約」として、「液化役務提供会社の液化能力及びパイプライン会社のパイプラインを2019年から20年間にわたり一定規模利用する」という契約まで結ばされているようです。
米国の液化天然ガス(LNG)を毎年200万トン、20年間にわたって引き受けるという話。
これも恐ろしい話で、契約書に記載されている仕入原価が今のLNGの時価の2倍くらいになってしまっているという事です。LNGは時価で売るので。
むろん監査法人としては、それを知ってしまったのだから、損失に係る引当金を積まねばなりません。
こちらは上記した電力会社等への損害賠償金額と比べると測定しやすいかなと思いますが。
要は今後20年間にわたって、200万トンを原価割れで売り続けたらどれほどの粗損になるか見積もればいいわけです。
LNGの今後20年間の時価がどう移り変わるか不確定要素が大きいので、何とも測定は難しいのでしょうが、監査法人としては、やはりこれだってかなり保守的に見積もりたいはずです。
一説によると、1兆円規模の損失を見込んでいるとか。

 

つまり現状東芝は、
①減損損失+債務保証損失で1兆5,000億円。
②電力会社等への損害賠償損失でいくらになるかわからない程の損失。
③LNG事業に係る将来に係る損失が1兆円規模。
というように、一体当決算年度だけでいくら引当金を積まねばならないのか、見当もつかないというレベルに来ています。
これだけ見ると3兆円か、あるいはもっと。
優良事業である東芝メモリを2兆円だかで売るとか言ってますが、もう焼け石に水なんではないかと思えます。
仮に東芝メモリを売った際の仕訳は簡単に書くとこんな感じ。
・現金預金 2兆円 / 東芝メモリに係る資産の時価から負債の時価をネットした金額
売却益
メモリ事業に帰属する資産と負債のネットがいくらくらいになるかわからないですが、東芝メモリを売ってもそれによる売却益はせいぜいが1兆5,000億円程度になるのではないでしょうか。
これだけでは、精々WHの減損損失と債務保証損失を補填するくらいにしかなりません。
やはりどう考えても、債務超過は不可避のようです。
それで東芝が東証二部に降格するのは、まあ全然構わないのですが、今後出てくる損害補償だとか、LNGによるキャッシュアウトはどう賄っていくのでしょうか。
主力のメモリ事業を売却してしまうと東芝にはそんな潤沢な営業キャッシュは生み出せないでしょう。
それにメモリ事業のみならず、もはや東芝は肝臓も腎臓も売り払ってしまっている状態。
ではどうカネを作るのか。
これはもう、結局国のカネ、つまり税金で火消しする事になるんだろうなあ。としか思えませんね。
どこの奇特な民間企業が、損害補償やLNGの損まで被ってくれるかという話です。
東芝の救済は我々の税金で待ったなしでしょう。

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