【島耕作】遺伝子ドライヴの是非について

モーニング16号を読んでいたら今週も島耕作で興味深い話が。

島耕作が旧友である平瀬と「ゲノム編集」技術の最先端である「米国科学アカデミー」に取材に赴いた話。

ゲノム編集の研究については、アメリカは意外とキリスト教保守派の影響が強い国なので、慎重派なのだそうです。

ただそれは連邦議会が国家予算をゲノム編集研究に投資するのを禁止しているだけで、アメリカではゲノム編集に関わるヴェンチャーはどんどん出現しているという。

ここらへんは、さすがは自由の国アメリカだと思わされます。

中でも面白かったのが、遺伝子操作による生態系の影響。「遺伝子ドライヴ技術」。

これは、人類にとって、都合の悪い遺伝子は人為的に排除し、人類にとって都合のいい遺伝子のみを繁殖させる技術だそうです。

これはなかなか恐ろしい技術。神をも恐れぬ、というか。

そもそも「人類にとって都合のいい悪い」というのは誰がどう判断するのか。かなり倫理的・哲学的に難しい問題が立ちはだかっている。

2015年11月にカリフォルニア大学の研究チームがマラリアを媒介しない遺伝子を持った蚊を創り出すのに成功したそうで。この蚊をアフリカの感染地帯に放てば、原理的には、他の蚊を駆逐して、マラリアを撲滅する事が可能なんだそうです。

しかし蚊のような、食物連鎖の末端にある生物を遺伝的に作り変えてしまったら、その上に連なる捕食生物の生態系にどんな影響がわからない可能性があるとの事。

確かに、食物連鎖という大きな還流の中で、ただ蚊だけに遺伝子操作などを施せば、大いなる自然の循環を人為的に歪める危険性があるような空恐ろしい気持ちになります。

しかしそうは言っても、アフリカでは年間2億人がマラリアに罹り、43万人あまりが亡くなっているそう。同様に蚊を媒介とするジカ熱も中南米で猛威を振るっているので、これだけの被害を食い止める方法があるのならば、一刻も早く実用化すべきだとの人道的な意見もあるらしいのです。

「遺伝子ドライヴ技術」を実用化するか否か、臨床に持っていくか否かの議論は現時点で正解は出せないでしょう。正解はおそらく100年という長期スパンの歴史によって解き明かされるのではないかと思います。

今のアメリカなどのスタンスでは、遺伝子操作の研究はしてもいいけど、臨床実験は許さないというところらしく、研究については日本はかなり出遅れているそうです。

研究は進めておくべきだとは思います。遺伝子操作の技術が別の科学に応用できる可能性はあるわけですから、無駄になる技術ではないのではないでしょうか。

しかし実用化となるとこれは手を出していい事なのかどうか。

顔のいい人間や歌の上手い人間。足の遅い人間や、国語が得意な人間。数学が得意な人間。

野球が上手い、サッカーが下手、水泳が得意。いくら食べても太らない。色々いるから人間です。

いわゆる誰の基準によるものかはわかりませんが、そのいずれにおいても「理想的」とされる遺伝子を作る事で、超人類を創りだす技術が確立されたら、それの意味するところとはなんでしょうか。

遺伝子的に劣る人間は人類から駆逐されるべきなのでしょうか。人間の多様性とは何なのか。人類は開けてはいけないパンドラボックスに手をかけようとしているように見えます。

 

 

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