【カジュアルウェア小売3社】直近決算比較分析(2018-2019)

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今回はカジュアルウェア小売大手3社の直近決算(2018-2019)について比較分析。

決算情報は各社決算短信より。

単位は特筆なき場合すべて百万円とし、百万円以下の金額は切り捨てている。

 

経営成績

ファーストリテ しまむら アダストリア
売上高 2,130,060 545,996 222,664
営業利益 236,212 25,451 7,190
営業利益率 11.1% 4.7% 3.2%
営業CF 176,403 15,428 9,904
営業CFマージン 8.3% 2.8% 4.4%
最終利益 154,811 15,996 3,890

 

ファーストリテがとうとう売上2兆円超え。

しかも国内ユニクロの売上8,647億円(40.5%)なのに対して、海外ユニクロの売上が8,963億円(42.0%)と海外ユニクロが国内ユニクロの売上を逆転している。

もはや名実ともに世界のユニクロ。後はいかにその地位を盤石にしていくかというフェーズなのでしょうか。

追う、しまむらとアダストリアですが、どちらも、売上は前期比割れ。

国内市場はシュリンクしていくのは決定事項なので、ファーストリテのように、いかに海外マーケットに食い込むか、という勝負だったのだということでしょうか。

そう考えると、海外進出という大博打に見事買ったファーストリテはやっぱり凄い。

若手起業家に柳井さんが神格化され憧憬されているのがこの数字で腹落ちします。

営業利益率もファーストリテ一人勝ち。

特筆すべきは、国内ユニクロの営業利益率(13.7%)、海外ユニクロの営業利益率(13.2%)と、海外の利益率が国内と比較しても、そう劣後していないという点。

普通、海外では、国内で築き上げたオペレーションシステムなどがそのままワークすることはなく、色々コストがかさみ、利益を圧迫するものだと思うのですが、それがかなり統制効いて、ヘッジされていることだと思います。

もはや王者ファーストリテに死角なしというところなのでしょうか?

あとはアメリカとか中国とかの政治とか、グローバルなマーケット環境など、そういうマクロ経済の行方次第というところかもしれません。

営業CFマージンも3社と相対化すると、ファーストリテが一番強い。

ただ、営業利益率と比べると、営業CFマージンが若干劣後している。

この主要因としては、棚卸資産の増加(▲1,794億円)と法人税の支払額(▲867億円)が悪影響を与えているようです。

法人税に関しては、もはやお馴染みの、商売の邪魔をする税当局が悪なわけですが、棚卸資産の増大については少し気になるでしょうか。

今のユニクロのビジネスの規模においての、適性な在庫量というものは測定できませんが。

ただ、営業CFマージンも10%台に乗せておくと、物凄く見栄えは良かったんではないかな、とは個人的には感じました。

 

決算パラメタ

ファーストリテ しまむら アダストリア
総資産 1,953,466 397,425 91,285
株主資本 862,936 355,393 52,781
現金預金 999,697 24,260 18,726
有利子負債 681,442 0 2,552
流動資産 1,618,097 224,767 50,116
流動負債 499,410 33,747 36,829
支払利息 3,169 0 50
非資金的費用 45,055 5,719 8,326
EPS 1,518 435 83
BPS 8,460 9,670 1,122
配当金額 440 200 50
配当総額 44,881 7,351 2,353
発行済み株式数 102.003 36.753 47.059
株価 64,260 8,290 2,730
時価総額 6,554,713 304,680 128,470

 

時価総額の比較。

もはやこの3社で比較する意味があるのかとは思いますが、ファーストリテの6.5兆円は凄い規模だとは思う。

昨年の夏ごろはまだ4.8兆円だったので、1.7兆円(35.4%アップ)もサイズアップしているということか。

http://tamojun51.com/archives/1951

恐るべきファーストリテ。昨年の10月~12月あたりに買っておけば、かなり大儲けできたはず。

実は時価総額だけだと、アダストリアもかなり成長。

昨年の夏ごろから2.1倍以上になっている。この成長率はかなり驚異。

そう遠くない将来、しまむらはアダストリアに食われる?

唯一、しまむらだけが時価総額を落としてしまっている。

そう言えば、しまむらに行かなくなったかもなあ、とも思う。

ファーストリテ しまむら アダストリア
自己資本比率 44.2% 89.4% 57.8%
D/Eレシオ 0.79 0.00 0.05
流動比率 324.0% 666.0% 136.1%
ネットキャッシュ 318,255 24,260 16,174
 対総資産比率 16.3% 6.1% 17.7%

 

実はしまむらの財政状態ってかなり良い。無借金経営。

流動比率も抜群に良い。

それなのに、ネットキャッシュでは、3社の中で、対総資産比率が一番低い。

これはなぜかと言うと、しまむらは短期売買有価証券を1,390億円も保持しているからです。

これは譲渡性預金。なぜ定期預金などしているのかは不明。

変な投資するよりはマシかもしれませんが。

かと言って、このまま何もせずに指を咥えていたら、ファーストリテはどんどん先に行くし、アダストリアには追い抜かれてしまうかもしれません。

 

当決算から計算する経営指標

ファーストリテ しまむら アダストリア
ROE 17.94% 4.50% 7.37%
ROA 7.92% 4.02% 4.26%
ROIC 9.84% 4.61% 8.36%
PER 42.3 19.0 33.0
PBR 7.6 0.9 2.4
WACC 3.1% 2.1% 4.3%
EBITDA 281,267 31,170 15,516
FCF △ 28,757 1,293 2,840
EV 6,236,458 280,420 112,296
配当利回り 0.68% 2.41% 1.83%
配当性向 29.0% 46.0% 60.5%

 

ROE,ROA,ROICでも圧倒的にファーストリテ。

逆に、借金はせずに、定期預金とかしているしまむらは少しどっしりし過ぎちゃっている感。

アダストリアも少し、重たい。店舗関連の固定資産や敷金、保証金など。

そして特筆すべきは、FCFでしょうか。

ファーストリテが、▲28,757もの赤字を計上。

理由は投資CFの▲57,180が大きい。

投資CFの大きさは、他社と比較してもかなり大きい。

王者ファーストリテにしてからが、この投資。赤字になるほど投資をしても投資家の指示は厚い。

対売上の投資CFの比率は各社以下の通り。

ファーストリテ(2.68%)・しまむら(2.89%)・アダストリア(3.90%)

各社とも、投資にはガッツリコミットしているよう。

それとファーストリテのFCFが悪い理由のひとつが大幅な棚卸資産の増加。

これが▲175,113と足を引っ張る。

上にも書いたが、この棚卸資産の大きな増加は少し気がかりだろうか。

ファーストリテ しまむら アダストリア
グレアム指数 321.6 16.3 80.4
EV/EBITDA 22.2 9.0 7.2
PEGレシオ 31.6 測定不能 23.0
FCFマージン -1.4% 0.2% 1.3%

 

グレアム指数。ファーストリテは高すぎですね。アダストリアも。

逆にしまむらはPBRが1倍を割っている。これは実際の消費マーケットとよく符号している。

EV/EBITDAはファーストリテ、やはり高い。しまむらとアダストリアはまあ安いと言って良い水準。

PEGレシオ。ファーストリテとアダストリアは成長維持。しまむらだけマイナス成長。

FCFマージンは各社薄い。それだけ投資CFがかさんでいる。

各社ともに、危機感高いのかと考える。

 

業績予想から計算する経営指標

ファーストリテ しまむら アダストリア
売上 2,300,000 563,000 225,000
営業利益 270,000 34,735 10,000
営業利益率 11.74% 6.17% 4.44%
最終利益 165,000 23,480 6,000
EPS 1,618 639 128
予想配当金額 480 200 50
予想配当総額 48,961 7,351 2,353

 

ファーストリテ、2.3兆円。2兆円台をキープの目標。

当社は営業利益率も高い。この規模において、それでもなお、意欲的な計画と感じます。

ファーストリテ しまむら アダストリア
ROE 19.12% 6.61% 11.37%
ROA 8.45% 5.91% 6.57%
ROIC 11.25% 6.29% 11.63%
PER 39.7 13.0 21.4
EBITDA 315,055 40,454 18,326
予想FCF 218,827 28,074 14,762
配当利回り 0.75% 2.41% 1.83%
配当性向 29.7% 31.3% 39.2%

 

各社かなり良化しているが、やはりファーストリテの数字が飛びぬけていいのは一目瞭然。

ROAも10%乗ってくるともっと見栄え良い。

株価が落っこちて、しまむらの配当利回りが、かなり良くなっているようです。

ファーストリテ しまむら アダストリア
グレアム指数 301.7 11.1 52.1
EV/EBITDA 19.8 6.9 6.1
PEGレシオ 34.8 9.5 15.4
FCFマージン 9.5% 5.0% 6.6%

 

グレアム指数。ファーストリテはやっぱ高い。高すぎる。

逆にしまむらがかなり安い。どうなんだ。本当にしまむらには未来はないのか??

EV/EBITDAではアダストリア安い。急激な時価総額の増加を経て、なお、これだけの安さなら、アダストリアの底力、侮れないのかもしれない。

PEGレシオ。しまむらが安い。本当にこの業績予想を達成できるならば。

FCFマージンはやはり各社弱い。

投資CF加味前の数字なので、FCFはもう少しあってもいいかな、と思ってしまわないでもない。

 

総括

やっぱユニクロってすごいんだなあと。

既に、生活インフラのひとつと化している。

家に、ユニクロの服が一着もない、という家庭を探す方が難しいくらいなのでは?

一方で、しまむらの凋落が凄まじい。

私は今では、服はZOZOで買う習慣ができてしまったので、しまむらにも随分、足が遠のいた。

送料200円くらいだと、もはやめんどくさくて、店舗になど行っていられないのです。

しまむらは確か、ZOZOとタイアップするとかなんとか言っていたと思うので、何とかネット商圏で戦えるように体制を整えないと、このままズンズンと取り残されていくのでは?

まだ、国内カジュアルウェアでは第2位の位置にいる。ZOZOと上手くシナジーを産んで、王者ファーストリテに挑んでほしい。

最後にアダストリア。知らない内に、時価総額が1,000億円を超えていたのは驚き。

このままの市況環境が続けば、しまむらを抜いて、国内第2位の座に躍り出る可能性はそう低くはないと感じました。

ただそうは言いつつも、ファーストリテが圧倒的で、2位以下が大きく引き離されている現状。

柳井絶対王政を揺るがすために、2位以下の企業はある程度、大同団結して臨んでもいいのかもしれない、くらいの圧倒的差を感じます。

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