【ビール大手3社】2018.12期(本決算比較)

関連過去記事。

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★トイレタリー大手3社、2018.12期、比較分析

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★ラーメン大手3社、2017-2018、比較分析

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今回はビール大手3社の、2018.12期の本決算の比較分析を行う。

決算情報は決算短信より。

単位は特筆なき場合すべて百万円とし、百万円以下の金額は切り捨てている。

 

経営成績

アサヒ キリン サッポロ
売上高 2,120,291 1,930,522 521,856
営業利益 211,772 199,327 10,828
営業利益率 10.0% 10.3% 2.1%
営業CF 252,441 198,051 30,830
営業CFマージン 11.9% 10.3% 5.9%
最終利益 151,077 164,202 8,521

 

アサヒ、前期に引き続き、売上が2兆円の大台乗り。伸び率101.6%

キリンは2兆円には届かなかったが、猛追。伸び率103.5%

デッドヒートを繰り広げているが、ここに来ての、2%の成長差は大きいでしょう。

営業利益率では、前期に引き続き、キリンがトップ。アサヒもなかなか上げてきているが。

営業CFマージンではアサヒが逆転。

売掛債権などの運転資本はアサヒの方が良化。

営業利益率よりも、営業CFの方が大事。

この2トップと比較すると、サッポロは見劣りする。

営業利益率、営業CFマージン共に相対的にかなり低い。

売上も521milで、1兆円に遠く及ばずと言ったところ。

確かに、最近ではビールと言えばもっぱら、

「アサヒ or キリン」になった印象である。

 

決算パラメタ

アサヒ キリン サッポロ
総資産 3,079,315 2,303,624 639,692
株主資本 1,146,420 916,080 161,501
現金預金 57,317 173,102 9,989
有利子負債 1,027,388 414,994 259,584
流動資産 714,576 831,758 153,544
流動負債 939,591 589,949 214,591
支払利息 6,753 5,696 2,368
非資金的費用 109,206 67,946 28,512
EPS 330 184 109
BPS 2,503 1,024 2,073
配当金額 99 51 42
配当総額 45,351 45,620 3,271
発行済み株式数 458.088 894.506 77.891
株価 4,759 2,565 2,509
時価総額 2,180,042 2,294,408 195,427

 

時価総額比較。

アサヒが2.1兆円。キリンが2.2兆円。キリン>アサヒ状態は変わらず。

それにしても、前期時点では、アサヒが2.5兆円、キリンが2.7兆円規模だったので、時価総額も結構剥落した感じではある。

サッポロは1,954億円と桁が違う感じのサイズ感。

アサヒ キリン サッポロ
自己資本比率 37.2% 39.8% 25.2%
D/Eレシオ 0.90 0.45 1.61
流動比率 76.1% 141.0% 71.6%
ネットキャッシュ △ 970,071 △ 241,892 △ 249,595
 対総資産比率 -31.5% -10.5% -39.0%

 

自己資本比率。アサヒ、キリンは似たような感じだが、キリンが若干強い。

D/Eレシオも同様。しかしサッポロの借金が随分相対的に見ると大きいのは気になるところ。

流動比率はダントツ、キリン。

ネットキャッシュではみんな赤字。さすがにアサヒは赤字の規模もでかい。

サッポロは赤字幅がむしろキリンよりも大きくて、少し気をもむくらいの財政状態に見える。

 

当決算から計算する経営指標

アサヒ キリン サッポロ
ROE 13.18% 17.92% 5.28%
ROA 4.91% 7.13% 1.33%
ROIC 6.27% 9.64% 1.65%
PER 14.4 14.0 22.9
PBR 1.9 2.5 1.2
WACC 2.4% 3.9% 1.3%
EBITDA 320,978 267,273 39,340
FCF 253,043 234,150 21,307
EV 3,150,113 2,536,300 445,022
配当利回り 2.08% 1.99% 1.67%
配当性向 30.0% 27.8% 38.4%

 

ご覧になるとわかるように、ROE,ROA,ROIC、全てのスコアで、キリンがトップ。

キリンが強い。実は売上が劣後しているだけで、中身はアサヒよりも良いのではないか。

前期もそうでした。

ただ、前期と比較すると、キリンのROEなど勢いがない。前期は20%を超えていたので。

リセッション、と言う程、大きな話なのかどうか、そういうマクロ経済的な話は別として、やはりビール会社に勢いがあるのとないのとでは違うでしょう。

アサヒ キリン サッポロ
グレアム指数 27.4 35.0 27.8
EV/EBITDA 9.8 9.5 11.3
PEGレシオ 12.5 13.6 測定不能
FCFマージン 11.9% 12.1% 4.1%

 

グレアム指数。やはり指標が強いだけあって、キリンが高い。サッポロも高い。

アサヒがお買い得か?

EV/EBITDAを見ると、キリンが安い。キリンがお買い得とも言える?

サッポロのみ、10%を超えてしまっている。営業利益率も低いので。

PEGレシオ。アサヒとキリンはなかなかのスコア。しかしサッポロはマイナス成長なので、さえない。

FCFマージンも同様。アサヒとキリンは強い数字だが、サッポロだけが大きく劣後している。

 

次年度業績予想から計算する経営指標

アサヒ キリン サッポロ
売上 2,153,000 2,000,000 548,800
営業利益 217,000 190,000 12,600
営業利益率 10.08% 9.50% 2.30%
最終利益 152,000 120,000 8,200
EPS 332 134 105
予想配当金額 106 63 42
予想配当総額 48,557 56,354 3,271

 

各社業績予想。

注目すべきは、キリンの売上が2兆円到達しているところか。

その分、多少営業利益率を犠牲にしているようである。

アサヒ キリン サッポロ
ROE 13.26% 13.10% 5.08%
ROA 4.94% 5.21% 1.28%
ROIC 6.42% 9.19% 1.93%
PER 14.3 19.1 23.8
EBITDA 326,206 257,946 41,112
FCF 248,867 190,230 36,621
配当利回り 2.23% 2.46% 1.67%
配当性向 31.9% 47.0% 39.9%

 

若干借金の割合が大きい、アサヒがROEでトップに。

ROA,ROICは変わらずキリンが強い。

配当利回りもキリンがトップ。

アサヒ キリン サッポロ
グレアム指数 27.3 47.9 28.8
EV/EBITDA 9.7 9.8 10.8
PEGレシオ 14.0 測定不能 20.5
FCFマージン 11.6% 9.5% 6.7%

 

2兆円という売上大台のために、利益率を犠牲にする予定のキリン。

最終利益もその分落ち、グレアム指数が1社だけ跳ね上がっている。

EV/EBITDAのスコアも、アサヒに逆転を許している。

営業利益に関しては、キリンは、マイナス成長予定のため、PEGレシオも測定不能に。

営業利益率が減るために、FCFマージンも、アサヒに首位を譲り渡す格好となっている。

 

総括

キリンにとって、2兆円台の売上というのは、これだけ利益率を犠牲にしても達成すべきものなのだなあ、という印象。

他の商材も同じではあろうが、利益率を犠牲にしてまで獲得したい「シェア」

私自身は、日常的にあまりビールを飲むわけではないので、詳しくは分からないが、やはり、アサヒ派・キリン派と閥が分かたれているようではある。

「辛さがいい」「飲み口がスッキリしていて飲みやすい」「麦芽が強めでビール飲んでる感じがする」

それぞれ好みがあるようだが、アサヒ派はアサヒを、キリン派はキリン派を好んで飲み続けている印象が強い。

となると、まずは、シェアを大きくするという経営判断自体は、間違ってはいないのかな、という感じ。

まずは覇権を握って、利益率の改善はその後、というように、財務内容などと相談しながら、過酷なシェア争いがずっと続けられているようです。

この競争こそが、「真の資本主義」だな、と感動すら覚えるところです。

メーカーの優秀な研究員や営業員、そしてそれらを支えるバックオフィスの人たちが、日本の資本主義をボトムから盛り上げてくれているのですね。

頭に来るのはそれを邪魔する、財務省などの役人でしょうか。

アルコールに対して、ヘンテコな税金を作りだして、それで課税することで、悦に入っていますが、メーカー側としてはこれほど迷惑なことはないでしょう。

日本の資本主義の復興のために、民間は既に、最大限の努力をしてくれているわけですから、今するべきは官僚の権力を削ぎ落していく、「小さな政府化」に他ならないですね。

★みんな財務省他、役所に疑問の目を向け続けましょう。

http://tamojun51.com/archives/784

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