【リクルートHD】2018.9(2Q決算)

関連過去記事。

★2018.3期、本決算

http://tamojun51.com/archives/1902

★人材系大手3社決算比較分析

http://tamojun51.com/archives/2070

★とある失礼な企業に面接に行った時の話

http://tamojun51.com/archives/1181

今回は2018.9期、2Q決算について分析。

決算情報は決算短信より。

単位は特筆なき場合すべて百万円とし、百万円以下の金額は切り捨てている。

 

経営成績

経営成績 売上 営業利益 当期純利益
当決算① 1,143,339 126,570 92,684
前決算② 1,063,094 108,391 82,068
業績予想③ 2,302,000 210,000 153,000
YoY 80,245 18,179 10,616
107.5% 116.8% 112.9%
③-① 1,158,661 83,430 60,316
進捗率 49.7% 60.3% 60.6%

 

【対前四半期累計】

増収(+80,245、107.5%)、増益(+18,179、116.8%)

営業利益率は10.2%から11.1%へ改善されている。

空前の人手不足で、労働市場における需給はどんどんタイトになっていますから、その好影響を受けて、ということでしょう。

たまたま運が良かった、というだけで、そこまで高い経営力の発露のようには感じられません。

【対業績予想】

進捗率。

売上が若干ショートしているものの、営業利益はかなり順調な消化具合で、超過達成中。

営業利益率は9.1%を見込んでいるので、結果的に、かなり保守的な見積もりとなっている。

いつまでこの好況、を謳歌できるかは不明ですが。

 

営業CF

営業CF マージン
当期 126,096 11.03%
前期 92,583 8.71%
増減 33,513 2.32%

 

営業CFは1,260億円。マージンは11.03%とまあまあ。

+335億円。マージンは+2.32%の上乗せである。

主な増減内訳は以下の通り。

・売上債権→+64億円。

・仕入債務→△200億円。

・税引き前利益→+158億円。

・法人税の支払額→+268億円。

目立つのは法人税。

支払い額ということなので、前期確定分ということなのでしょう。

(中間納付は11月あたりなので2Qにはまだ影響ないでしょう)

前期末時点の未払法人税等が209億円にもかかわらず、当期の法人税の支払額が107億円、というのは謎なのですが。。。

★2018.9期、2Q決算短信

https://recruit-holdings.co.jp/ir/library/upload/report_201902_fs_jp.pdf

法人税や法人消費税の計算は本当に複雑で、分かりにくくていかんですね。

もっとシンプルな制度設計に変えていくように、役所は努力するべきでしょうね。

まあ、制度が複雑な方が、事務処理の嵩が増して、役所の肥大化には役に立つので、役人が自ら税制度を単純化させることなど本能的にあり得ないことなのかもしれませんが。

 

セグメント情報

事業構成比 売上 セグメント利益 構成比
HRテクノロジー 149,087 23,764 13.0%
メディア&ソリューション 346,472 91,445 30.3%
人材派遣 647,779 44,161 56.7%
調整 △ 4,124 0.0%

 

HRテクノロジーとは、「Indeed」や「Glassdoor」のこと。

売上も利益も劇的に伸びているセグメントです。

増収(+52,333、+154.08%)、増益(+7,569、+146.73%)

セグメント利益率は15.9%と高い。

(ただ上のセグメント利益はなぜかEBITDAの数字なので、普通の営業利益よりもかなり良く見えていることには注意が必要)

これ自体は筋の良いビジネスだとは思います。

膨大な求人情報を求職者とマッチングするのに、デジタルが適しているのは言うまでもありません。

既存の人材紹介のように、紹介する側の人間の恣意性が介入することもありません。

つまり、当社のHRテクノロジーというのは、自己否定ということになります。

リクルートキャリアの人材紹介サービスの劣化は凄まじいので、リソースをテクノロジーに傾けることとしたのでしょう。

これ自体は賢明な経営判断と言わざるを得ません。

それほど当社の人材紹介サービスは劣化が甚だしいということでもあります。

絶対使わない方が良いと思料します。

「メディア&ソリューション」セグメントは、HotPepperとかスタディサプリとかです。

まあそれぞれはそんなに良いサービスとは思いませんが、利益率が26.4%と高いので、それなりのキャッシュカウにはなっているようです。

頼みの「人材派遣」も、人手不足の労働市場において稼いでいます。

人々を働かせ、マージンをハネるという商売です。

金銭解雇の導入などで、直接雇用が進んで、こういう商売自体が廃れる世の中になると良いと思っています。

★金銭解雇を早く導入してもらいたい。

http://tamojun51.com/archives/865

 

決算パラメタ

項目 情報ソース パラメタ
営業利益 業績予測 210,000
有利子負債 当決算期末残高 176,029
現金預金 当決算期末残高 335,805
株主資本 当決算期末残高 934,715
当期純利益 業績予測 153,000
総資産 当決算期末残高 1,656,215
発行済み株式数 当決算期末残高 1,670.836
支払利息 業績予測 506
非資金的費用 業績予測 71,366
EPS 当期純利益÷発行済み株式数 92
BPS 純資産÷発行済み株式数 559
株価 直近株価 2,581
予想配当金額 決算短信 27.0
予想配当総額 1株当り配当×発行済み株式数 45,112.583
時価総額 株価×発行済み株式数 4,312,429

 

総資産1.6兆円。株主資本0.9兆円。自己資本比率56.4%

有利子負債1,760億円。D/Eレシオは0.19倍。

流動資産7,079億円。流動負債4,289億円。流動比率は165.0%

ネットキャッシュは+1,597億円。対総資産比率は9.6%

借金が多いわけではないが、ネットキャッシュもそんなに厚いというわけでもない。

ちなみに「のれん」は4,224億円。対総資産比率が25.5%もある!!

つまり当社の資産の1/4は、費用の塊で構成されている、ということです。

時価総額は4.3兆円。

ここまで評価される企業とは私は思いません。図体は馬鹿でかいとは思いますが。

 

業績予想から計算する経営指標

各指標
ROE 自己資本利益率 16.37%
ROA 総資本利益率 9.24%
PER 株価収益率 28.19
PBR 株価純資産倍率 4.61
ROIC 投下資本利益率 12.17%
WACC 加重平均資本コスト 4.09%
EBITDA 減価償却前営業利益 281,366
FCF Free cash Flow 26,183
EV 企業価値 4,152,653
予想利回り 1.05%
配当性向 29.49%

 

ROE,ROA,ROICはそれぞれ悪くないスコア。ただ思ったほど良くもない。

ここで注目したいのが、ROA

上記したように、資産の1/4以上をのれんが占めている当社。

当然、のれんとは、将来的には費用の塊であるため、償却されるまでは資産の重しでしかない。

よってROAのスコアを見ることで、その企業の「真の」稼ぐ力を見るように、私はしています。

そういう視点で見ると、ROE,ROICは良く見えますが、ROAが2ケタを切っている、というのはこの会社を評価する上で、割と大事な視点なのではないかと考えています。

グレアム指数は130.0倍。PBRは4.61倍。

もはやグロース株でも何でもないのに、ここまで高いのは既に私からすると論外です。

EV/EBITDAは14.8倍と高い。この数字も論外です。

PEGレシオは24.14倍。こちらも安くはない。

そしてFCFマージンが1.1%と薄い。

運転資本の悪化(仕入債務△242億円)なども悪影響を及ぼしていますが、何よりもFCFを減らしている要因は投資CFの△1,587億円です。

まあ、稼いだカネを事業投資に振り分ける元気があるのは良いことなのですが、これがまたぞろ、「のれん」に変貌すると思うと、そう楽観視ばかりしていられません。

配当利回りも高くない。その割には配当性向は結構高い。

つまり、株価が高すぎるのでしょう。

 

総括

でかい図体の割には、営業利益率、営業CFマージン、ROE,ROA,ROICのスコアは悪くない。

(驚くほど良い、ということもないのだが)

借金も少なく、差し迫って、カネの問題はほぼないに等しい。

ただ上記したように、当社は全資産の内、のれんが1/4を占めている。

のれんとは、つまりは、将来的に費用になっていくだけのものなので、その価値があるとは言えないでしょう。

キャッシュとか土地とか機械装置ではないわけですから。

それが資産の25%を占める会社をどう評価するか、という話ですね。

私はこういう会社はよほど安いのでもない限り敬遠したいな、と感じます。

それで株価が安いのかと言えば、グレアム指数やEV/EBITDA、PBRなんかを見るととても安いとは言えない。

というかかなり割高だとカウントできると思います。

積極的に、当銘柄を買う理由は、少なくとも私には見つけられませんでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です