プレミアムフライデー論

労働生産性は、生産量(GDP)÷(就業者数×労働時間)で計算します。

公益財団法人日本生産性本部資料より、

【労働生産性の国際比較ランキング】(2014)

1位 ルクセンブルク

2位 ノルウェー

3位 アメリカ

4位 アイルランド

5位 ベルギー

6位 スイス

7位 フランス

8位 イタリア

9位 オーストラリア

10位 オーストリア

11位 デンマーク

12位 スウェーデン

13位 スペイン

14位 ネーデルランド

15位 ドイツ

16位 カナダ

17位 フィンランド

18位 ギリシャ

19位 UK

20位 イスラエル

21位 アイスランド

22位 日本

 

日本は34か国中、22位。

G7の中では最低。OECD平均も下回っています。

案の定、日本の労働生産性は相対的にかなり低い。

それは過剰なサービスが原因なのか、低賃金が原因なのか、あるいはその双方が原因なのか。

 

2060年には、日本の労働人口は7,700万人から、4,400万人と40%も減少するそうです。

少子高齢社会の今だからこそ、労働生産性を向上させねばならない。

 

産業別の労働生産性の対米比(経済産業省「通商白書2013」)によれば。

日本がアメリカに対抗できるのは、一般機械と自動車くらいしかありません。

特に最近その衰退ぶりが顕著なのが、「電気機器」です。

東芝やシャープの凋落ぶりが如実ではありますが、

1991年時点では、対米比163%もあった労働生産性が今では、50%弱まで落ち込んでいます。

変化への対応力が弱いという、日本人の欠点がモロに出ている。

また同様に、「飲食・宿泊」のサービス業は、アメリカのなんと26.5%だそうです。

これはとてつもなく低い。飲食店とかホテルのサービスマンに何でもやらせ過ぎです。

欧米諸国で、客の注文の皿を乱暴にテーブルに置いたとしても、チップがもらえたりします。

日本人はきめ細かな対応をしても、余計なお金はもらえません。

倫理的には後者の方が正しいとしても、労働生産性は前者の方が高いという辛い結果になるのです。

日本人の高齢な飲食店経営者はしかし、そんな雑なサービスは決して許さないでしょう。

それならば、サービスに見合ったフィーを取れるのか?

デフレで安売り合戦の最中、自分だけが値上げでもしようものなら、途端に競争力を失います。

今、日本のサービス業は、現場のアルバイトや社員の、自己犠牲の元に成り立っているのです。

サイゼリアとか普通のファミレスの昼食時の混雑は半端じゃありません。

それなのにキッチンから、配膳まで超人的な動きでこなしてしまう人っています。

その飲食店のエース級です。あれは見ていて超人的です。

そして、概して、そういう人間に限って、ホスピタリティも高い。

ああいう、素晴らしい現場のバイトや社員にもっと還元が為されるべきでしょう。

経営者のおじさんおばさんの役員報酬などよりも、ああいう現場のエース級に対する待遇を手厚くすれば、その飲食店は発展できると私は思っています。

 

OECDの発表している、年間の労働時間の国際比較というのもあって、

2013年の日本人の実労働時間は1735時間だそうです。

アメリカは1788時間。

1970年頃は2200時間だった日本人ですから、△20%の削減に成功したわけです。

しかしこれは見かけだけの改善で、削減の主因はパートタイム労働者の増加なのだそうです。

パートタイム労働者の実労働時間が1150時間で、これが平均を押し下げている。

フルタイムの正社員だけ見れば、2000時間働いている実情は変わらないそう。

日本人労働者の本質は変わっていないという事です。長く働けばいいという。

ネーデルランドはワークシェアリングを本格導入しているし、

ドイツは午後6時以降の仕事を禁止する法改正を考えていて、

フランスは週35時間労働を徹底しているのだそう。

ヨーロッパ勢は時短への強いこだわりがあるという事なのです。

時短なのに、購買力平価GDPは、

日本が37,000$。

フランス、ドイツ、ネーデルランドは40,000$超え。

長く働いている日本人の方が、生産力も低いという残念な結果。

日本は、終身雇用と年功序列による悪しきシステムにより、

「ただ闇雲に頑張る」という高度経済成長を経てきたおじさんおばさんにより、

精神論で労働者が不毛に搾取されている社会なのです。

 

最近お上主導で「プレミアムフライデー」が早々に実行されました。

主目的としては、社員を早帰りさせて、飲み屋などでの消費喚起により景気増進効果を狙っているらしいですが、各所から非難轟轟です。

いわく月末の金曜なんて忙しくて早帰りなんてとても、とか、結局飲食店は普段より忙しいんだとか。

しかし問題の本質はそんな所にありません。

問題の本質はお上にいちいち、「プレミアムフライデー」とか「国民の祝日」とか指図されないと、早帰りもできない、休む事もできない日本人の精神性にこそあるのです。

別に、仕事が終わりゃ早帰りすればいいし、休みたきゃ休めばいい。

それなのに自発的にはそうしない。

それは職場の休んではいけないという同調圧力なのか、長く休まず働く事を美徳と教え込まれてきてしまった弊害なのか、それは分かりませんが、とにかく管理職も現場の労働者も「生産性を向上」なんて本気では望んでいない事の証左なのかもしれません。

いや、いつか誰かが自動的に生産性を向上させてくれるのを待って、自分は棚ぼた的に、いつかそれが享受できればいいななどと思考停止しているのが現実でしょう。

日本は年次有給休暇が相対的に少ない。その上、その消化率が最も少ないのです。

スペインやフランスなどは、有給休暇が25~30日もあり、消化率は100%

有給割増買取制度があるために無理矢理取得させられる制度運用になっている。

ヨーロッパは12月中旬以降はクリスマス休暇だし、夏休みに1か月程度もバカンスを楽しんでいる。

しかもドイツやフランスは病欠は有給休暇にカウントされません。

休む文化、人を大事にする文化が醸成されていると考えていいでしょう。

東芝のように、会社を生かす事だけを考えて、若い現場の技術力を売り払う非人道的な企業とは真逆のように見えます。

 

全要素生産性(TFP)という指標があるのだそうです。

増加生産物-「労働力」-「資本」=TFPという計算式だそうですが、

いわゆる「イノヴェイション」を表す指標。

システム化や自動化、新需要の創出など、画期的な発明によって生まれます。

GoogleやAmazon、FacebookやAppleがやって来たことです。

これが日本は他の先進諸国に比べると低い。

1992年の対米比が61.9%

2009年の対米比が59.8%

これがヨーロッパ諸国などは80~90%にもなるのだそう。

 

危機的状況だと思います。これはやはり従来のやり方を、若者主導で変えていく必要があると思います。

社長が30~40代の会社はTFPも高い。

もっと30~40代の経営者・管理職を増やし、若者がイキイキ働ける社会にしていかねばならないでしょう。

手始めに年功序列、終身雇用システムを是正していくところからだと思います。

 

※【参照】出口治明著「日本の未来を考えよう」

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