【RIZAPグループ】2018.9(2Q決算)
関連記事。
★ライザップ、何がやばいのか?
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58478
現代ビジネスの記事。
ライザップが営業赤字に転落したというニュースが割と喧しい。
ライザップは、赤字などで経営難に陥った会社を安く買い叩いて、負ののれんを計上。
負ののれんの特別利益で、純利益をかさまししていた、という記事。
ただそういうテクニカルな会計処理ばかりが注目されてしまうが、買い取った会社の中には、本当に赤字から回復させた会社も数社あり、全く実績がないわけではないとのこと。
しかし、あまりに手を広げ過ぎて、コングロマリットディスカウント状態になってしまっているというのは議論の余地はないでしょう。
赤字に転落したという当社の2018.9期、2Q決算を見ていきたい。
決算情報は決算短信より。
単位は特筆なき場合すべて百万円とし、百万円以下の金額は切り捨てている。
経営成績
経営成績 | 売上 | 営業利益 | 当期純利益 |
当決算① | 109,105 | △ 8,829 | △ 8,532 |
前決算② | 62,581 | 4,987 | 2,932 |
業績予想③ | 230,900 | △ 3,300 | △ 7,000 |
YoY | 46,524 | △ 13,816 | △ 11,464 |
174.3% | -177.0% | -291.0% | |
③-① | 121,795 | 5,529 | 1,532 |
進捗率 | 47.3% | -167.5% | -21.9% |
【対前四半期累計】
増収(+46,524、174.3%)、減益(△13,816、△177.0%)
凄まじい営業利益の落ち込み。
営業利益率は8.0%から△8.1%に急転直下。
しかし前四半期では累計で、8.0%もの営業利益率があった。
前述した負ののれんは、特別利益なので、営業利益には関係がない。
会計テクニックなどは使わずに、前期は黒字を計上できていたということなのでしょう。
【対業績予想】
業績予想の下方修正。
進捗率は売上は少しショートしているといった具合だが、営業利益は赤字の見通し。
大きく赤字先行。少しでも黒字方向に持っていきたい。
営業利益率は△1.4%を企図。+6.7%を成し遂げなければならない。
大丈夫なのか。
営業CF
営業CF | マージン | |
当期 | -7,616 | -6.98% |
前期 | 1,028 | 1.64% |
増減 | -8,644 | -8.62% |
大事な営業CFも△76億円の赤。
前期は10億円の黒字で、営業CFマージンは1.64%だった。
主な増減内訳は以下の通り。
・税引き前利益→△14,082
・償却費など→+1,646、
・営業債権の減少→+1,668
営業利益率は8.0%あったのに、営業CFマージンは1.64%ぽっち。
やはりこのCF計算書とPLを比較考量するあたりが、投資判断する際の大きな肝になるのかもしれない。
セグメント情報
事業構成比 | 売上 | セグメント利益 | 構成比 |
美容・ヘルスケア | 39,078 | △ 1,928 | 35.8% |
ライフスタイル | 25,749 | △ 1,126 | 23.6% |
プラットフォーム | 44,277 | △ 4,089 | 40.6% |
調整 | △ 1,685 | 0.0% |
全事業見事に赤字。
前期は全部黒字だったので、これはなかなかきつい。
やはりPBR1倍割れの会社を買って、負ののれんを計上したはいいが、なかなか事業再生は難しかったということでしょうか。
決算パラメタ
項目 | 情報ソース | パラメタ |
営業利益 | 業績予測 | △ 3,300 |
有利子負債 | 当決算期末残高 | 77,782 |
現金預金 | 当決算期末残高 | 57,220 |
株主資本 | 当決算期末残高 | 53,553 |
当期純利益 | 業績予測 | △ 7,000 |
総資産 | 当決算期末残高 | 202,285 |
発行済み株式数 | 当決算期末残高 | 536.779 |
支払利息 | 業績予測 | 1,868 |
非資金的費用 | 業績予測 | 5,172 |
EPS | 当期純利益÷発行済み株式数 | △ 13 |
BPS | 純資産÷発行済み株式数 | 100 |
株価 | 直近株価 | 255 |
予想配当金額 | 決算短信 | 0.0 |
予想配当総額 | 1株当り配当×発行済み株式数 | 0.000 |
時価総額 | 株価×発行済み株式数 | 136,879 |
総資産2,022億円。株主資本535億円。自己資本比率26.5%
有利子負債777億円。D/Eレシオは1.45倍。
流動資産1,411億円。流動負債857億円。流動比率164.6%
ネットキャッシュは△205億円の大赤字。
財務はやはり良くない。
時価総額は1,368億円。
あれだけストップ安なのに、まだこれだけの時価総額があるのはちょっと驚き。
業績予想から計算する経営指標
各指標 | ||
ROE | 自己資本利益率 | -13.07% |
ROA | 総資本利益率 | -3.46% |
PER | 株価収益率 | -19.55 |
PBR | 株価純資産倍率 | 2.56 |
ROIC | 投下資本利益率 | -1.62% |
WACC | 加重平均資本コスト | 0.92% |
EBITDA | 減価償却前営業利益 | 1,872 |
FCF | Free cash Flow | -13,689 |
EV | 企業価値 | 157,441 |
予想利回り | 0.00% | |
配当性向 | 0.00% |
ROE,ROA,ROICは赤字なのですべて測定不能。
PBRは2.56倍。これだけ株価が下がってもまだ2.56倍もある。
EV/EBITDAは84.1倍とかなり高い。
FCFは△136億円の赤字。
棚卸資産の増加分が92億円ほどあり、FCFはかなり悪い。
当然配当はなし。
しかしまだEVが1,574億円もあるのは驚きといっていいかもしれない。
総括
現状の成績と財務だけ見ると、手だし無用の株と思われる。
ただ、PBRが1倍未満の株を買い、その経営を改革して、再びキャッシュカウにする、ということ自体は全然間違っていないのではないかと感じました。
ただ赤字の事業を立て直すというのはかなり大変なんだろうとも思いますが。
冒頭に挙げた、現代ビジネスで、松本晃さんがいうように、「キャッシュイズキング」というのは真理ではあるとも思いました。
とりあえず無理な拡大路線はスピードダウンして、既存事業を黒字に戻す方に経営資源を振り分けた方が良いのではないかとも、経営素人としては思います。
とは言いながらも、そんな常識的な手法を用いていては、他社を出し抜けないのは確か。
曲がりなりにも、ここまで会社をビッグにしてきた実績があるのだから、瀬戸社長はどんどん突っ走ってもらえればいいのかな、とも思う。
ただ株は買おうとは思いませんが。