【日本乾溜】2018.9(本決算)

関連過去記事。

★2018.6期、3Q決算

http://tamojun51.com/archives/2128

今回は、2018.9期、本決算について分析。

決算情報は決算短信より。

単位は特筆なき場合すべて百万円とし、百万円以下の金額は切り捨てている。

 

経営成績

経営成績 売上 営業利益 当期純利益
当決算① 12,759 658 484
前決算② 12,185 585 444
当期業績予想③ 12,200 397 290
翌期業績予想④ 12,770 400 300
①-② 574 73 40
成長率 104.7% 112.5% 109.0%
①-③ 559 261 194
達成率 104.6% 165.7% 166.9%
④-① 11 △ 258 △ 184
成長率 100.1% 60.8% 62.0%

 

【対前期】

増収(+574、104.7%)、増益(+73、112.5%)

営業利益率は4.8%⇒5.2%へと0.4%アップ。

営業利益率が5%に乗ったのはこれはこれで快挙。

主力の建設事業が好調だった。

【対当期業績予想】

増収(+559、104.6%)、増益(+261、165.7%)

営業利益率は3.3%見込みから5.2%へと+1.9%と超過達成。

とりわけ営業利益の上げ幅が大きい。

元々の業績予想が保守的過ぎたのもある。

【対翌期業績予想】

増収(+11、100.1%)、減益(△258、60.8%)

収益は横ばい。そして一転しての大減益。

営業利益率見込みは3.1%で、△2.1%を計画している。

また保守的過ぎる見積もりなのでは?と思わないでもないが、円安による原材料等の高騰や、人手不足による人件費の高騰など、そういったマクロ的要因を思案すると、保守的になるのもむべなるかな、といったところ。

 

営業CF

営業CF マージン
当期 948 7.43%
前期 241 1.98%
当期-前期 707 5.45%
成長率 293.36% 275.66%

 

対前期で+707、成長率が293.36%と、成長率が凄い。

マージンも、+5.45%、成長率、275.66%と振るっている。

増減理由として主なところは、

・売上債権の減少で、+1,566、

・棚卸資産の減少で、+157、

・仕入債務の増加で、△882、

と言ったところか。

営業CFマージンは10%を目指して頑張って欲しいところ。

そのためには、まず営業利益の底上げが必要になってきます。

 

セグメント情報

事業構成比 売上 セグメント利益 構成比
建設 10,196 880 79.9%
防災安全 2,028 179 15.9%
化学品 534 117 4.2%
調整 △ 518 0.0%

 

構成比で80%を占める、建設事業が主力。

利益率は8.6%とそこそこ。

次いで防災安全。利益率が8.8%

双方とも、利益率はそこそこ。

ただ、上にも書いた通り、原材料費や人件費の高騰など、マクロ的な環境は利益率に対してネガティヴに働きそうではある。

ここらへんの利益率をどう高めていくのかが経営手腕でしょう。

 

決算パラメタ

項目 情報ソース パラメタ
営業利益 決算短信 658
有利子負債 当決算期末残高 58
現金預金 当決算期末残高 3,234
株主資本 当決算期末残高 5,425
当期純利益 決算短信 484
総資産 当決算期末残高 9,238
発行済み株式数 当決算期末残高 5.040
支払利息 決算短信 0
減価償却費 決算短信 101
EPS 当期純利益÷発行済み株式数 96
BPS 純資産÷発行済み株式数 1,076
株価(円) 直近株価 497
配当金額 決算短信 7
配当総額 1株当り配当×発行済み株式数 35.282
時価総額 株価×発行済み株式数 2,505

 

総資産92億円。株主資本54億円。自己資本比率は58.7%

有利子負債5.8千万円で、D/Eレシオは0.01倍。

流動資産63億円。流動負債31億円。流動比率200.6%

ネットキャッシュは+31億円。対総資産比率は34.4%

借金はほぼなく(すべてリース債務)、ネットキャッシュもかなり潤沢。

キャッシュリッチ企業。

そして時価総額が25億円。

ネットキャッシュ31億円>時価総額25億円。

つまり、自分で保有しているキャッシュよりも、時価総額が低い状態が続いている。

少なくとも、保有しているカネよりは価値があるんではないんでしょうか?

営業利益も、営業CFも黒字なのだから。。。

この銘柄のこのプライシングについては謎です。

 

当決算から計算する経営指標

各指標
ROE 自己資本利益率 8.92%
ROA 総資本利益率 5.24%
PER 株価収益率 5.18
PBR 株価純資産倍率 0.46
ROIC 投下資本利益率 7.72%
WACC 加重平均資本コスト 0.64%
EBITDA 減価償却前営業利益 759
FCF Free cash Flow 760
EV 企業価値 -671
配当利回り 1.41%
配当性向 7.29%

 

ROE,ROA,ROICはなかなか良いスコア。

派手さはないが。営業利益率とかなり大きいキャッシュを保有していることを鑑みれば、及第点でしょう。

グレアム指数は2.39倍という驚きの安さ。PBRは0.46倍とこちらも超安い。

そして更に驚きなのが、EVがマイナスになってしまっているということ。

企業価値がマイナスというのは??

つまり上でも書いたように、保有しているキャッシュよりも、企業に価値がないというプライシングがされている状態なのでこういうスコアになってしまいます。

カネを持っていて、かつ、営業黒字、営業CFも黒字。

それなのに企業価値がマイナスという。。

EV/EBITDAもマイナスとなり、測定不能。

いくら建設業が人気がないとはいえ、この会社は不当に安く評価されすぎなんではないでしょうか??

PEGレシオは4.60倍とこちらも割安。

FCFマージンは5.96%とまあまあ。

配当利回りもそこそこ。

ここらへんの配当利回りを、3%程度に上げると、現金な投資家などは手の平返したようにホールドし始めるかもしれません。

 

翌期業績予想から計算する経営指標

項目 情報ソース パラメタ
営業利益 決算短信 400
当期純利益 決算短信 300
EPS 当期純利益÷発行済み株式数 60
予想配当金額 決算短信 7
予想配当総額 1株当り配当×発行済み株式数 35.282

 

上の業績予想パラメタを入力して、経営指標を再計算するとこちら。

各指標
ROE 自己資本利益率 5.53%
ROA 総資本利益率 3.25%
PER 株価収益率 8.35
ROIC 投下資本利益率 4.70%
EBITDA 減価償却前営業利益 501
FCF Free cash Flow 358
EV 企業価値 -671
配当利回り 1.41%
配当性向 11.76%

 

利益がダウンする計画のため、ROE,ROA,ROICは軒並みダウン。

ただそうはいっても、割安。

グレアム指数は3.86倍で、EVはマイナスのまま。

FCFマージンは2.94%と結構トーンダウンしてはいるものの。

配当利回りはそこそこ。

滅茶苦茶に多いというわけではないが、それでも配当を出してくれる会社の企業価値が、マイナスというのはどう考えてもおかしいかな、という印象。

 

総括

当期に関しては業績上方修正および、増配のリリースも出していました。

http://www.kanryu.co.jp/ir/pdf/relese/20181026shusei.pdf

こういった状況や、営業利益、ROE,ROA,ROIC,営業CF、FCFなどのフローの成長率。

財務状況の良さなどを考え合わせると、EVがマイナスというのはいくら何でも売られ過ぎだと考えて良いのではないかと感じています。

建設業というのは、そもそも株価が低くて、つまり将来がない、と投資家に見切りをつけられ、その期待値が織り込まれている状態なのだとは思いますが、将来のことは誰にもわからないでしょう。

よく東京五輪までの景気だ、という言説を聞くことがありますが、私はこれにも懐疑的です。

東京五輪で多少特需があるでしょうが、何より人々の生活は五輪前も後も連綿と続いて行きますし。

なんだかんだで、建設業というのはこれからもなくてはならない存在として、経済・産業界にある一定程度のプレゼンスは発揮し続けるのではないでしょうか。

円安や人件費高騰などのマクロ的要因も直撃しやすい業界ではありますが、逆に直撃しやすいゆえに、そこにイノヴェイションの萌芽が隠されているとする見方もあります。

少なくともこの会社に至っては、ここまで将来を悲観され、株価が下げられる合理的な理由は見当たらないというのが私の考えです。

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