【求人情報・人材紹介サービス大手3社】直近決算比較分析(2017-2018)

関連過去記事。

★リクルートHD、2018.3期本決算

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★とある失礼な企業に面接に行った時の話

http://tamojun51.com/archives/1181

★Wantedly、2018.5期本決算

http://tamojun51.com/archives/2066

今回は人材系大手3社(リクルート、エン・ジャパン、ディップ)の直近決算数値の比較分析を行う。

決算情報は各社決算短信より。

単位は特筆なき場合すべて百万円とし、百万円以下の金額は切り捨てている。

 

経営成績

リクルート エン・ジャパン ディップ
売上高 2,173,385 40,710 38,062
営業利益 191,794 9,631 10,799
営業利益率 8.8% 23.7% 28.4%
営業CF 194,117 9,458 9,729
営業CFマージン 8.9% 23.2% 25.6%
最終利益 151,667 6,368 7,531

 

売上だけ見てしまうと、2.1兆円という規模で、リクルートが桁違いではある。

ただこの売上の内、1.1兆円は人材派遣によるもの。

つまり、期間雇用者が不安定な仕事をしている、その上前をハネているのが事業の大半を占めている会社です。

派遣社員の方たちの犠牲の上に、巨利を貪っている企業とも言い換えられるとする論者もいます。

この派遣という雇用形態は、つまり、企業がすぐ辞めさせたり雇ったりを簡単にできるようにするための社会装置です。

強い解雇規制の抜け道という見方もできます。

★解雇規制により、若者の職が奪われている。

http://tamojun51.com/archives/1773

仮に金銭解雇などがワークする社会になれば、そもそも派遣社員なんていう雇用形態は必要なくなりますから、当社の売上も激減するのではないでしょうか。

★金銭解雇導入の有用性について

http://tamojun51.com/archives/1573

このリクルートという企業が儲かっているということが、日本のジョブマーケットの歪さを物語っていると思っていますし、閉塞感の源ですらあると感じています。

営業利益に目を移すと、リクルートの営業利益率が8.8%と低いのに対して、エンは23.7%、ディップは28.4%とかなり高いです。

エンやディップは余計な事業を抱えていないだけ、スマートな経営をしているということができるでしょう。

売上は、ただ無暗に、肥大化させればいいというものではありません。

営業CFマージンも見てみると、リクルートが8.9%程度なのに対して、エンは23.2%、ディップは25.6%とかなり高い。

リクルートという企業が、コングロマリットディスカウントになりつつあるということが、この数値からはっきりしていると思われます。

 

決算パラメタ

リクルート エン・ジャパン ディップ
総資産 1,574,032 40,492 28,016
株主資本 835,605 28,119 20,272
現金預金 389,822 23,505 14,717
有利子負債 183,075 8 0
流動資産 770,962 31,405 19,788
流動負債 447,768 10,982 6,335
支払利息 295 0 0
非資金的費用 61,363 1,714 1,449
EPS 91 140 135
BPS 500 618 364
配当金額 23 47 43
配当総額 38,421 2,116 2,392
発行済み株式数 1,670.462 45.500 55.626
株価 3,685 5,290 2,604
時価総額 6,155,654 240,696 144,850

 

時価総額で比較すると、リクルートが6.1兆円でかなりのサイズ。

エンは2,406億円。ディップは1,448億円と、それぞれ決して小さくはないですが、6兆円と比較すると桁が違うのは明らかです。

ただそうは言っても、上記してきた通り、コングロマリットディスカウントで肥大化している面もありますから、投資に向いているかと言われると疑問符。

これだけのサイズになれば、大企業病に罹患せざるを得ないですし、不採算事業だってあるはずでしょう。

そもそも企業というのは、存続するのが目的ではないので、無闇に事業を起し、ポートフォリオを増大させるのは本末転倒も甚だしい企業の在り方です。

何より、時価総額が6兆円になってしまった企業が、ここから更にスケールすることはかなり上げ値は重くならざるを得ないでしょう。

そういう意味から、時価総額が大きいことが、必ずしも是の面ばかりでないことは承知しておくべきとは思います。

リクルート エン・ジャパン ディップ
自己資本比率 53.1% 69.4% 72.4%
D/Eレシオ 0.22 0.00 0.00
流動比率 172.2% 286.0% 312.4%
ネットキャッシュ 206,747 23,497 14,717
 対総資産比率 13.1% 58.0% 52.5%

 

上記の決算パラメタから計算した、各社の財務指標。

自己資本比率はどこも低くはないですが、大きな借金をしなくてもできる事業と言えば、そういう事業ですから、借金はどの会社も小さいか、あるいはない。

それゆえ自己資本比率も高くなります。特にディップの自己資本比率の高さはかなりのモノ。

D/Eレシオも、リクルートのみ。そして小さい。

流動比率はリクルートが低い。

理由としては、のれんが3,129億円も計上されていることでしょうか。

果敢なM&Aの負の側面。のれんというのはつまり費用の塊です。

いずれこれが費用化されていき、PLにヒットします。減損という形で一気に襲い掛かるやもしれません。

リクルートののれん比率は、312,944/1,574,032=19.8%

エンは6.8%、ディップは0.45%

リクルートののれんがどれだけバカでかいかお分かりになると思います。

のれんなんてない企業の方が良いのです。

ネットキャッシュはリクルートが2,000億円以上もある。対総資産比率は13.1%

エンは58.0%、ディップが52.5%

エンやディップはキャッシュをあまりにも手許に置きすぎでしょう。

むやみやたらにM&Aすればいいとは思いませんが、適時適切に、カネは使う、それも大事な経営力。

カネがない貧乏企業よりはマシですが、こんなに余してしまうのも問題でしょう。

 

当決算から計算する経営指標

リクルート エン・ジャパン ディップ
ROE 18.15% 22.65% 37.15%
ROA 9.64% 15.73% 26.88%
ROIC 12.12% 22.04% 34.28%
PER 40.6 37.8 19.2
PBR 7.4 8.6 7.1
WACC 3.8% 7.5% 11.8%
EBITDA 253,157 11,345 12,248
FCF 120,430 5,124 4,340
EV 5,948,907 217,199 130,133
配当利回り 0.62% 0.88% 1.65%
配当性向 25.3% 33.2% 31.8%

 

ROE,ROA,ROICのスコアを比較すると、リクルートだけが飛びぬけて悪いことが分かります。

のれんなどでブクブクと太ったBSが各スコアの足を引っ張っています。

これも一種の大企業病でしょう。

それにしても凄まじいのがディップのスコア。

とりわけROICの34.28%は恐ろしい。。。

リクルート エン・ジャパン ディップ
グレアム指数 299.0 323.5 137.4
EV/EBITDA 23.5 19.1 10.6
PEGレシオ 測定不能 26.9 16.2
FCFマージン 5.5% 12.6% 11.4%

 

グレアム指数はどこも高い。

特にエンは高い。PBRも一社だけ8倍台。

どの会社も今買いたいとは思わない。

EV/EBITDAも各社高い。

唯一ディップだけが少し安さを感じさせないでもないですが。

PEGレシオはリクルートだけはマイナス成長なので測定不能。

他の二社も決して安くはない。

FCFマージンは案の定、リクルートが一番薄い。

エンとディップは10%を超えてきている。

ただ上にも書いた通り、カネは貯めるばかりが能ではないので、使って社会に還元する姿勢を見せたらいいとは思います。

もう事業投資する意欲も能力もないならば、自社株買いしたり、配当したらいいでしょう。

配当利回りはどこも決して高くはありません。

 

次年度業績予想から計算する経営指標

リクルート エン・ジャパン ディップ
売上 2,302,000 48,550 42,360
営業利益 210,000 10,700 11,630
営業利益率 9.12% 22.04% 27.46%
最終利益 153,000 7,330 7,960
EPS 92 161 143
予想配当金額 27 57 45
予想配当総額 45,102 2,575 2,503

 

売上は相変わらずリクルートが桁違いの2.3兆円。

ただ売上が大きければいいというものではありません。

営業利益率や営業CFマージン、FCFマージンの方が大事です。

そういう意味で言えば、営業利益率では、他の二社に大きく水を空けられている様子が見て取れます。

リクルート エン・ジャパン ディップ
ROE 18.31% 26.07% 39.27%
ROA 9.72% 18.10% 28.41%
ROIC 13.27% 24.48% 36.92%
PER 40.2 32.8 18.2
EBITDA 271,363 12,414 13,079
FCF 196,519 8,601 8,934
配当利回り 0.73% 1.07% 1.73%
配当性向 29.5% 35.1% 31.4%

 

ROE,ROA,ROICのスコア。

やはりディップが凄まじく良い。エンもかなり良いのですが、ディップと比較すると少し見劣りします。

リクルートも決して悪いスコアではないですが、エンとディップがあるのに、わざわざリクルートに投資する意味が私には理解不能ではあります。

リクルート エン・ジャパン ディップ
グレアム指数 296.4 281.1 130.0
EV/EBITDA 21.9 17.5 9.9
PEGレシオ 36.7 29.6 16.9
FCFマージン 8.5% 17.7% 21.1%

 

グレアム指数を比べると、リクルートが一番高い。

私ならこの株価なら絶対に手を出しません。

EV/EBITDAもリクルートが一番高い。市場に過大評価されているように見えて仕方ありません。

相対的に、この3社の中でいうなら、ディップが一番お買い得でしょう。(それでも高いとは思いますが)

PEGレシオも同様。リクルート高い。

そして、そんな一番割高なリクルートのFCFマージンがこれまた3社の中で一番低いという罠。

少なくとも、私が重視している指標を見比べれば、リクルートは良い企業とは思いません。

リクルートに投資するカネがあるなら、エンやディップや他の割安銘柄に投資するでしょう。

 

総括

上記してきた通り、派遣社員の上前をハネて、そのマージンで荒稼ぎしている企業、という印象が強く、私はこのリクルートという会社が好きではありません。

肝心の人材紹介サービスも、劣化が激しいと感じています。

そういうことなどを考えあわせていくと、この会社が時価総額6兆円の価値があるとは個人的にはどうしても思えないというところです。

なんだかよく分からないような事業をいっぱい抱え込んで、好き好んで、コングロマリットディスカウント化への道を突き進んでいます。

そしてその原資が、派遣社員から搾取したカネ、というのもすごく気味が悪いです。

いうなれば、凡百の派遣社員に働かせて得たカネで、リクルートのホワイトカラーが事業という形で遊んでいるようにすら見えるのです。

やはり日本という国は、早急に金銭解雇を導入して、この間接期間雇用という雇用形態を廃絶していくべき時期にとっくに来ているのだと、個人的には痛感しているところです。

★日本の経済界は早く金銭解雇を導入しなければならない。

http://tamojun51.com/archives/865

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