【鉄道大手3社】2018.3(決算比較分析)

関連過去記事。

★東日本旅客鉄道2018.3期、本決算

http://tamojun51.com/archives/1861

★東海旅客鉄道2018.3期、本決算

http://tamojun51.com/archives/1854

★通信大手3社決算比較分析

http://tamojun51.com/archives/1961

今回は鉄道大手3社(JR東、JR東海、JR西)の直近決算の比較分析。

決算情報および定性情報は決算資料より。

単位は特筆なき場合すべて百万円とし、百万円に満たない金額は切り捨てている。

 

経営成績

JR東 JR東海 JR西
売上高 2,950,156 1,822,039 1,500,445
営業利益 481,295 662,023 191,365
営業利益率 16.3% 36.3% 12.8%
営業CF 704,194 609,595 275,101
営業CFマージン 23.9% 33.5% 18.3%
最終利益 288,957 395,502 110,493

 

売上を比較すると、2.9兆円でJR東がダントツのトップ。

やはり首都圏の交通インフラは規模が凄い。また東北新幹線や北陸新幹線なども強い。

しかし、一方で営業利益となると今度は0.6兆円で、JR東海が何とJR東を逆転。

JR東海の営業利益率は36.3%と他の2社を大きく引き離しています。

これが、普通の民間企業ならば、手放しで喝采するところですが、東海は交通インフラ。つまり規制産業です。

まず競争がない。ゆえに運賃を下げるバイアスが働かない。

交通系の政治家や官僚に政治をするのがこの会社の仕事。

一種、官製の出先機関であり、民間企業の皮をかぶっているという見方ができます。

(それは先に挙げた、大手通信会社も同様なところがありますが。)

しかしそれにしたって、東海の営業利益率の高さは、他の規制産業と比較しても群を抜いているのがお分かりいただけるでしょう。

これはとりもなおさず、それだけ、エンドユーザー(東海道新幹線の利用客)から大きくふんだくっている、ということを意味しています。

決して低くはない、JR東海の多くの(必要かどうか大いに議論されるべき)ホワイトカラーの人件費を加味した後ですら、この大きな営業利益率なので、利用客はどれだけボラれているのか、定量的に分かります。

政治力も経営力のひとつだ、という反論はその通り。

ただ、お役所や政治家の方ばかり向いていて、利用客からいくら収奪しても構わないという姿勢がこれだけあからさまだと、東海旅客鉄道の運賃はその半分くらいは税金のようなものなんだな、という怒りとも諦観ともつかぬ感情が湧きあがってはきます。

営業CFマージンを見ても、33.5%で東海がトップ。

東海道新幹線に、イノヴェイションでもって、早く強い競合が現れることを期待してやみません。

 

決算パラメタ比較

JR東 JR東海 JR西
総資産 8,147,676 8,908,682 3,072,965
株主資本 2,787,347 3,020,245 1,005,615
現金預金 255,102 3,310,794 82,995
有利子負債 3,190,523 4,360,315 1,049,477
流動資産 1,003,376 3,804,768 419,089
流動負債 1,434,356 602,823 530,327
支払利息 64,733 78,722 20,906
非資金的費用 376,334 216,027 163,562
EPS 749 2,015 571
BPS 7,227 15,391 5,194
配当金額 140 140 160
配当総額 53,996 27,473 30,977
発行済み株式数 385.689 196.233 193.605
株価 10,380 22,860 7,813
時価総額 4,003,448 4,485,887 1,512,637

 

現金預金を見ると、JR東海が3.3兆円で他を逸脱している。

これはリニア建設資金の信託が2.8兆円入っています。

東海はリニア建設のために、国から3兆円借りていますので。

3兆円もの規模のカネがリニア建設のために、公費から支出されています。

これはもはや公共事業ですね。

事実上の談合が行われたことも、むべなるかなです。

時価総額では、4兆円の東と4.4兆円の東海が競っている。

しかし時価総額でもトップは東海です。ドル箱新幹線の価値は高い。

リニアが完成したら、この時価総額がスパークするんでしょうか??そんな兆しないですが。。

JR東 JR東海 JR西
自己資本比率 34.2% 33.9% 32.7%
D/Eレシオ 1.14 1.44 1.04
流動比率 70.0% 631.2% 79.0%
ネットキャッシュ △ 2,935,421 △ 1,049,521 △ 966,482
 対総資産比率 -36.0% -11.8% -31.5%

 

自己資本比率は総じてどこも低い。借金はどこも多い。

D/Eレシオは1.44倍で東海が一番高い。やはり3兆円の借金が効いています。

流動比率では東海が異常にでかい。例の2.8兆円の信託の影響が大きい。

3兆円の借金は当然、長期負債なので、固定負債にオンされているが、管理信託は流動資産にオンされている。

税金を使うことで、財務状態を良くしています。ここまで政治をされると、他の民間企業が勝てるわけがない。

ネットキャッシュは上記ご覧の通り、どこも大赤字。

中でも、JR東の△2.9兆円のサイズはすごい。

 

当決算から計算する経営指標

JR東 JR東海 JR西
ROE 10.37% 13.10% 10.99%
ROA 3.55% 4.44% 3.60%
ROIC 5.18% 5.77% 5.99%
PER 13.9 11.3 13.7
PBR 1.4 1.5 1.5
WACC 2.0% 1.4% 2.5%
EBITDA 857,629 878,050 354,927
FCF 144,824 △ 1,015,792 69,805
EV 6,938,869 5,535,408 2,479,119
配当利回り 1.35% 0.61% 2.05%
配当性向 18.7% 6.9% 28.0%

 

ROE,ROA,ROICにおいては、3社横並びか。

ただ競合が極端に弱く、エンドユーザーに大きく負担をかけながら、規制産業の既得権益を貪る、営業利益率36.3%の東海がどこスコアも優勢か。

ただあれだけ営業利益が高いなら、もっと突き離さないといけないように思いますが。ホワイトカラーの人件費が高すぎるのでしょうか。

JR東 JR東海 JR西
グレアム指数 19.9 16.8 20.6
EV/EBITDA 8.1 6.3 7.0
PEGレシオ 13.4 10.6 12.6
FCFマージン 4.9% -55.8% 4.7%

 

グレアム指数。東海が一番安い。ただPBRは意外と1.5倍と結構高い、ように思われる。

EV/EBITDAはどこも安い。ここも東海が一番安い。営業利益率が高いので。

PEGレシオも東海。やはり新幹線は強い。競合がほぼいないようなものですから。

FCFマージンでは東海が大きく赤。リニア建設で投資CFがかさんでいます。

 

業績予想から計算する経営指標

JR東 JR東海 JR西
売上 2,994,000 1,844,000 1,525,500
営業利益 482,000 663,000 187,500
営業利益率 16.10% 35.95% 12.29%
最終利益 289,000 404,000 111,000
EPS 749 2,059 573
予想配当金額 150 140 175
予想配当総額 57,853 27,473 33,881

 

JR東の売上は3兆円に迫る勢い。

人口減少時代とはいえ、というか減少時代だからこそ、首都圏の利用サイズは大きくなっていく傾向にある。

営業利益率は35.95%という逸脱した高さで案の定東海がトップ。

これだけ儲けているなら、運賃下げろ、って普通、責められそうですが、日本国民というのは本当に上には大人しい民族なんですね。

JR東 JR東海 JR西
ROE 10.37% 13.38% 11.04%
ROA 3.55% 4.53% 3.61%
ROIC 5.19% 5.78% 5.87%
PER 13.9 11.1 13.6
EBITDA 858,334 879,027 351,062
FCF 686,549 642,734 284,237
配当利回り 1.45% 0.61% 2.24%
配当性向 20.0% 6.8% 30.5%

 

営業利益率の高い、東海がROE,ROAではトップ。それでも大して良いスコアではないですが。

ROICは西がトップ。東海ほど営業利益を出していないのに、結構頑張っている感じあります。

注目したいのが、配当。

配当性向、東が20%、西が30%のところ、東海だけが6.8%。。。

利用客ばかりではなく、投資家もどうでもいいと考えているようです。

JR東 JR東海 JR西
グレアム指数 19.9 16.5 20.5
EV/EBITDA 8.1 6.3 7.1
PEGレシオ 13.8 11.1 測定不能
FCFマージン 22.9% 34.9% 18.6%

 

グレアム指数、EV/EBITDA、PEGレシオすべて、人気のない東海が一番安い。

しかし上記してきた通り、安いのには安いなりの理由があることがお分かりいただけると思います。

東海の企業倫理はあまりに他の基準と逸脱している危険がありますね。

FCFマージンでは投資CF加味前だと東海は34.9%あります。

しかしこれをマイナスになるまで、リニアに使ってしまいます。

エンドユーザーや投資家は、リニアを建設することに対して、きちんとアグリー出来ているのでしょうか?

私ならこんな会社に投資はしないんですけど。。

 

総括

東も西も立派な規制産業なので、腐敗は当然しています。

それが表に染み出しているな、と感じるのが、ホームドアの設置。

★利用者の多い駅なのにホームドア設置が遅々として進まない理由

http://tamojun51.com/archives/776

★【満員電車解消の施策】日本交通インフラの問題点

http://tamojun51.com/archives/245

 

このように、とても利用者・投資家フレンドリーとは言いにくいのが交通産業です。

彼らは役所の出先機関。日夜政治にばかり明け暮れていますからさもありなんです。

しかしその中でも特に良くないと感じるのがやはり東海です。

営業利益率36.3%はどう考えても、ボリすぎでしょう。

現業の人たちはともかく、そもそも東海にあんなにホワイトカラーは必要なんでしょうか。

(東にも西にも言えることではありますが)

東海は高い営業利益率を保持したまま、「Wedge」やらなんやら、自社グループの大切なホワイトカラーの受け入れ先として雑誌事業やらのままごとをしています。

このサービス、誰が望んでいるのでしょうか??

グリーン車にしか置いていない雑誌ですが、これだって、あの新幹線の高い運賃にコミコミなんです。

普通車や指定席の人たちは読めもしない、しかも頼んでもいない雑誌にカネを払わさせられているのです。

もっと怒った方がよくはないでしょうか。。

加えて。

よく東海が「地方創生」などと言って大所高所から何か施策を打っているようですが、一番効果的な地方創生の打ち手はひとつです。

それは「新幹線の利用料金を下げる」これに尽きます。

センスがあるんだかないんだか分かりませんが、東海のホワイトカラーが旅行会社や広告代理店にカネを落とすくらいだったらその分、運賃を値下げすれば、地方への人の行き来が増え、よほど地方創生に貢献しますね。

民間側の努力で、Air Lineや高速バス、自動運転車などのイノヴェイションが実用化し、東海道新幹線の強い競合となっていく未来を願ってやみません。

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