【携帯電話3社】2018(決算比較分析)

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今回は携帯電話大手3社(NTT、SoftBank、KDDI)の決算数値を比較分析。

決算情報および定性情報は決算資料より。

単位は特筆なき場合すべて百万円とし、百万円以下の金額は切り捨てている。

 

経営成績

NTT ソフトバンク KDDI
売上高 11,799,587 9,158,765 5,041,978
営業利益 1,642,843 1,303,801 962,793
営業利益率 13.9% 14.2% 19.1%
営業CF 2,637,547 1,088,623 1,061,405
営業CFマージン 22.4% 11.9% 21.1%
最終利益 909,695 1,038,977 572,528

 

まず最初に断っておきたいのは、たとえばソフトバンク。

携帯電話会社とは言いながらも、ご存じの通り、最近トピックに上がるのは、ファンドというか投資銀行事業の方が多かったりします。

セグメント別に見ても、一番大きい売上は国内事業ではなく、スプリント事業(3.4兆円)だったりします。

(国内通信売上高は3.1兆円)

それにNTTやKDDIも、決して携帯電話・通信事業だけをやっているわけではないので、この3社の単純比較は難しいのは承知の上です。

ただ、主業を通信・携帯電話として軸足を置いている3社のそれぞれの規模感を分析し、大手3MNOの中ではどこが一番筋が良いビジネスをしているのかというのを独自に分析するのに、やはり決算情報の比較は適しています。

例えば売上高の規模を見ると、NTTが11.7兆円でSecond PlaceのSBを2兆円以上突き離しています。

そしてThird PlaceのKDDIの売上は5兆円で、NTTになんとダブルスコアをつけられているのです。

NTTとKDDIの売上高に、ここまで差があるのは意外でした。

やはり国内通信を支配しているのはまだまだNTT一強なのです。

しかし営業利益率を見てみると、19.1%でKDDIがトップ。

KDDIが一番利幅の良い商売をしているということも読み取れます。

(それだけ携帯エンドユーザーからふんだくっているということです)

一方で営業CFマージンになると、今度はNTTがトップ。現状の国内通信は美味しいんですね。

ビジネスサイドからの単純比較は難しいですが、利益率、金回りなどの数字はやはり正直と言えるでしょう。

一部の投資家に大人気のSBの営業CFマージンは11.9%と他の2社を比べると少し寂しいということも分かります。

 

決算パラメタ比較

NTT ソフトバンク KDDI
総資産 21,675,770 31,180,466 6,574,555
株主資本 9,485,981 5,184,176 3,773,703
現金預金 780,300 3,334,650 200,834
有利子負債 3,878,227 17,726,279 1,033,837
流動資産 5,367,552 6,874,862 2,151,249
流動負債 4,239,021 6,728,755 1,437,800
支払利息 32,188 541,011 17,048
非資金的費用 1,339,423 1,585,873 546,815
EPS 456 954 236
BPS 4,753 4,758 1,553
配当金額 150 44 90
配当総額 299,387 47,936 218,760
発行済み株式数 1,995.913 1,089.465 2,430.662
株価 5,119 9,722 3,142
時価総額 10,217,077 10,591,776 7,637,139

 

総資産額を見ると、なんとSBが31.1兆円で規模トップ。でかい。

ただその内キャッシュは3.3兆円ぽっちなのででかきゃいいというわけではないです。

大事なのは純資産(株主資本)

それで見ると、真水の純資産は9.4兆円でやはりNTTがトップです。

次に時価総額を見てみるとなんと驚くべきことに、SBが10.5兆円で、10.2兆円のNTTを逆転してしまっているのです。

国内市場は飽和していて、今後成長は見込めないことや、意欲的に海外展開・投資をリリースしている孫正義のプレゼンスが大きく影響していることは議論の余地がないでしょう。

NTT ソフトバンク KDDI
自己資本比率 43.8% 16.6% 57.4%
D/Eレシオ 0.41 3.42 0.27
流動比率 126.6% 102.2% 149.6%
ネットキャッシュ △ 3,097,927 △ 14,391,629 △ 833,003
 対総資産比率 -14.3% -46.2% -12.7%

 

自己資本比率では57.4%でKDDIがトップ。そしてSBは16.6%。。

総資産はでかければいいというものではありません。Assetが増えればその分、Debitも増えるのです。

D/EレシオではNTTとKDDIは健全な財務状況。ひとりSBだけがやたらと高いです。

SBの借金が大きすぎるということはよく言われますが、3社比較するとそれは如実です。

ただ、孫正義的には、ビジネスにレバレッジをかけるのは当然のことで、経営者の甲斐性と思っているんだと思いますが。(逆にNTTとKDDIは寝てるの?という感じなんでしょうか)

ネットキャッシュでもSBの財務状況の悪さは明瞭。△14.3兆円の大赤字。

借金というのは企業にとって良いモノでも悪いモノでもないというのが持論ですが、しかしこの赤字幅は凄い、というのが印象。

 

当決算から計算する経営指標

NTT ソフトバンク KDDI
ROE 9.59% 20.04% 15.17%
ROA 4.20% 3.33% 8.71%
ROIC 7.91% 3.66% 12.89%
PER 11.2 10.2 13.3
PBR 1.1 2.0 2.0
WACC 2.5% 2.6% 4.9%
EBITDA 2,982,266 2,889,674 1,509,608
FCF 271,293 △ 2,189,068 416,634
EV 13,315,004 24,983,405 8,470,142
配当利回り 2.93% 0.45% 2.86%
配当性向 32.9% 4.6% 38.2%

 

SBのROEの高さが際立ちます。しかしROA,ROICは低いのだが。。

有利子負債が17.7兆円もあれば、むべなるかなです。

しかし意外とバランスが取れていて良いのがKDDI。

ROICが二けた行っているのは好感ですね。

NTTも悪くはないんでしょうが、KDDIに比べると見劣り。

NTT ソフトバンク KDDI
グレアム指数 12.1 20.8 27.0
EV/EBITDA 4.5 8.6 5.6
PEGレシオ 10.5 8.0 12.6
FCFマージン 2.3% -23.9% 8.3%

 

各社、意外と高くないグレアム指数。SBが20.8倍というのは、結構割安と言えなくもない。

成熟していて、官僚組織みたいになっているNTTとかKDDIに対する投資家の期待値が高くないのはまあ当然として。

EV/EBITDAも各社安い。特にNTT4.5倍というのはなかなか。期待値低いんだなというのがクッキリ。

PEGレシオも各社割安でしょう。SB以外の今後の成長は難しいのでしょうが。

SBは成長する期待も大いにありますが、投資とかでコケちゃう危険性も大いにあります。

FCFマージンはKDDIが8.3%となかなか。

しかしSBのFCFの赤字、△2.1兆円はこれまたすごい規模。

 

業績予想から計算する経営指標

NTT ソフトバンク KDDI
売上 11,830,000 9,350,000 5,150,000
営業利益 1,690,000 1,150,000 1,020,000
営業利益率 14.29% 12.30% 19.81%
最終利益 880,000 690,000 620,000
EPS 441 633 255
予想配当金額 170 44 100
予想配当総額 339,305 47,936 243,066

 

各社業績予想数値。

営業利益率19.81%のKDDIの計画数値が意欲的に見えます。

上記パラメタを入力して計算した結果がこちら。

NTT ソフトバンク KDDI
ROE 9.28% 13.31% 16.43%
ROA 4.06% 2.21% 9.43%
ROIC 8.14% 3.23% 13.66%
PER 11.6 15.4 12.3
EBITDA 3,029,423 2,735,873 1,566,815
FCF 2,427,107 2,326,013 1,203,287
配当利回り 3.32% 0.45% 3.18%
配当性向 38.6% 6.9% 39.2%

 

ROE,ROA,ROICのスコアを見れば一目瞭然。

KDDIの一人勝ち。これだけ見たら、KDDIの一択しかない。

しかしさすがにSB、圧倒的に正しいことがひとつある。

それは配当。

配当性向6.9%と一番ケチに見えるが、まあ配当なんかしているカネはないというメッセージです。

投資家としては(本当は)ちまちま配当なんかしてくれるより、もっとビジネスをスケールするために投資して欲しいし、もしどうしてもカネが余るならば、自社株買いしてもらった方が良い。

配当してもらっても、税金を20%も国に収奪されますし。

それならば、配当は抑え目に、カネは俺が有効活用する、という孫正義のメッセージは圧倒的に正しい。

それがSBというか、孫に投資するということなのです。

NTT ソフトバンク KDDI
グレアム指数 12.5 31.4 24.9
EV/EBITDA 4.4 9.1 5.4
PEGレシオ 11.3 測定不能 11.6
FCFマージン 20.5% 24.9% 23.4%

 

業績予想に関しては、NTTとKDDIはそれなりに精度の高いモノを出してきていると思われます。

しかしSBに関しては特に投資事業がどうなるかわからんので、業績予想はアテになりません。

要は孫正義にベットできるかどうか、自分自身に聞いてみればよいのではないでしょうか。

グレアム指数も31.4倍と、驚くほど高値ではない。(私は買わないですが)

EV/EBITDAは相変わらずどこも安い。特にNTTは安いですね。

PEGレシオも安い、が、SBだけはマイナス成長のため、測定不能。

FCFマージンはどこも高い。

規制産業。楽な良い商売をしている。

 

総括

上述してきたことから私の意見をまとめるとこんな感じ。

NTT→安定

SB→大穴

KDDI→本命

通信事業会社に投資するなら、KDDIがオススメ。

ただ孫正義と同じ夢が見たいなら、SBも面白いんではないでしょうか。

通信事業というのはご存じの通り、規制ビジネスですから、金融や交通のように参入障壁が高く、そがため、一度既得権を得させすれば、よほどのことがない限り、キャッシュカウになってくれます。

だから楽天も第4のMNOになりたいのでしょう。

★楽天の携帯事業参入、常識では考えられない。

https://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/14/346926/121501247/

 

私は金融や交通や通信などの規制ビジネスは競争がなく、企業が腐敗していくので(実際してる)、楽天の挑戦は大いに評価します。(株は買わんけど)

金融や交通や通信、そして農業なんかも、絶対に競争が必要です。

最後に大事なPBRの比較をします。

NTTが1.1倍なのに対して、SBとKDDIは同じく2.0倍になっています。

NTT、面白味はないが、やはり土台はしっかり。安定している。

つまらない会社だし、経営センスもあるとは思えないですし、大嫌いな会社ですが。。。

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