【サイボー】2017.12(3Q決算)
商業施設賃貸が安定収益源。
紡織撤退、レースは生産。輸入原糸ほか各種繊維製品を企画・販売。
セグメント情報は以下の通り。
事業構成比 | 売上 | セグメント利益 | 構成比 |
繊維 | 3,564 | △ 52 | 56.8% |
不動産活用 | 1,811 | 127 | 28.9% |
ゴルフ練習場 | 701 | 52 | 11.2% |
その他 | 197 | 37 | 3.1% |
調整 | △ 39 | 0.0% |
構成比トップの繊維が赤字という苦しい展開。
不動産活用事業などは利益率7.0%とそこそこ健闘しているが、33年継続していた「イオンモール川口」の賃貸が2018.9に終了するというので予断は許されない。
ゴルフ練習場は構成比はまだまだ小さいが、利益率は7.4%と健闘。
以下、今回は2017.12期、3Q決算について分析。
決算情報および定性情報は決算資料より。
単位は特筆なき場合すべて百万円とし、百万円以下の金額は切り捨てている。
経営成績
経営成績 | 売上 | 営業利益 | 当期純利益 |
当決算① | 6,274 | 124 | 21 |
前決算② | 6,265 | 717 | 790 |
業績予想③ | 8,572 | △ 190 | △ 68 |
YoY | 9 | △ 593 | △ 769 |
0.1% | -82.7% | -97.3% | |
③-① | 2,298 | △ 314 | △ 89 |
進捗率 | 73.2% | 165.3% | 130.9% |
対前四半期累計増収(+9、+0.1%)、減益(△593、△82.7%)
微増収で、大減益。営業利益率は11.4%から2.0%へと急転直下である。
主な原因としては、「イオンモール川口」の撤退戦によるもの。
2018.9に終了するために、減価償却費や資産除去債務を計上。
それゆえ大幅減益している。飽くまで一過性の減益という説明です。
対業績予想では、売上はショートしているが、営業利益と最終利益は上振れている。
何と言っても、赤字の業績予想だったため。
「イオンモール川口」の撤退戦を少し、保守的に見積もり過ぎていたか。
いずれにせよ、苦しい決算期で、黒字確保できているのは大きいのかもしれない。
業績予想から計算する経営指標
当四半期末時点における決算パラメタは以下の通り。
項目 | 情報ソース | パラメタ |
営業利益 | 業績予測 | △ 190 |
有利子負債 | 当決算期末残高 | 2,574 |
現金預金 | 当決算期末残高 | 3,152 |
株主資本 | 当決算期末残高 | 13,938 |
当期純利益 | 業績予測 | △ 68 |
総資産 | 当決算期末残高 | 28,256 |
発行済み株式数 | 当決算期末残高 | 13.237 |
支払利息 | 業績予測 | 44 |
減価償却費 | 業績予測 | 1,471 |
EPS | 当期純利益÷発行済み株式数 | △ 5 |
BPS | 純資産÷発行済み株式数 | 1,053 |
株価 | 直近株価 | 511 |
予想配当金額 | 決算短信 | 14 |
予想配当総額 | 1株当り配当×発行済み株式数 | 185.324 |
時価総額 | 株価×発行済み株式数 | 6,764 |
総資産28,256、株主資本13,938、自己資本比率49.3%
有利子負債2,574、D/Eレシオは0.18倍と高くはない。
流動資産5,691、流動比率20.1%と低い。
ネットキャッシュは+638で対総資産比率が2.3%と黒字。
財務内容は思ったほど悪くはなさそうである。
時価総額が67億円。
以下計算結果。
各指標 | ||
ROE | 自己資本利益率 | -0.49% |
ROA | 総資本利益率 | -0.24% |
PER | 株価収益率 | -99.48 |
PBR | 株価純資産倍率 | 0.49 |
ROIC | 投下資本利益率 | -0.74% |
WACC | 加重平均資本コスト | 1.29% |
EBITDA | 減価償却前営業利益 | 1,281 |
FCF | Free cash Flow | 827 |
EV | 企業価値 | 6,186 |
予想利回り | 2.74% | |
配当性向 | -272.54% |
営業利益、最終利益ともに赤字の業績予想ゆえに、ROE,ROA,ROICすべて測定不能。
グレアム指数もPERが赤なので、測定不能。
EV/EBITDAは4.8倍とここは割安。
PEGレシオはマイナス成長なので、測定不能。
FCFマージンが意外と高くて、9.6%
理由としては「イオンモール川口」などの減価償却費が大きいことが挙げられる。
つまり「イオンモール川口」撤退関連の原価や費用がなければ、黒字だったということでしょう。
配当利回りが2.74%とちょっといい。
総括
当決算はなんと言っても、「イオンモール川口」で歪んでいるのが特徴である。
だから、ROE,ROA,ROICという経営指標がアテにならない。
とにかく行政予想が赤、という厳然たる事実を突き付けられるのみである。
しかし、意外だったのが、財政状態がそこまで悪くはないということ。
そして、EV/EBITDAは割安を示しており、また、FCFマージンのスコアも悪くないということである。
実は見かけほど、カネに困っているわけではないのでしょう。
3Q時点で黒字ですから、本決算も黒字の可能性は高いのではないか。
そういう意味では、面白い銘柄と言えなくもない。
しかし、本業かつ主業の繊維事業で赤字、という事実は痛いでしょう。
まずは本業を黒字化させてほしいものだ。