【東京エレクトロンデバイス】2017.12(3Q決算)
東京エレクトロンデバイスに関する過去エントリ。
【2Q決算】
http://tamojun51.com/archives/1447
【1Q決算】
http://tamojun51.com/archives/1106
今回は3Q決算について見ていきます。
事業構成比は以下の通り。
事業構成比 | 売上 | セグメント利益 | 構成比 |
半導体・電子デバイス | 107,140 | 1,406 | 89.7% |
コンピューターシステム | 12,286 | 435 | 10.3% |
主業である、半導体・電子デバイスの利益率がたったの1.3%
期待をかけるコンピューターシステム事業の利益率も頑張って3.5%というレベル感です。
以下、決算情報および定性情報は決算資料より。
単位は特筆なき場合すべて百万円とし、百万円以下の金額は切り捨てるものとする。
経営成績
経営成績 | 売上 | 営業利益 | 当期純利益 |
当決算① | 119,427 | 2,104 | 1,270 |
前決算② | 93,818 | 428 | 360 |
業績予想③ | 154,000 | 2,000 | 1,200 |
YoY | 25,609 | 1,676 | 910 |
27.3% | 391.6% | 252.8% | |
③-① | 34,573 | △ 104 | △ 70 |
進捗率 | 77.6% | 105.2% | 105.8% |
対前四半期累計増収(+25,609、+27.3%)、増益(+1,676、+391.6%)
増益幅がすごいことになっています。
EV車シフトなどの需要で自動車関連の半導体・電子部品が好調。産業用ロボットなども。
ただ、営業利益率は0.5%から1.8%と1.3ポイントアップしたものの、かなり低い営業利益率です。
つまり単に前四半期の営業利益率が異常に低すぎた、という点は加味しておいた方が良いでしょう。
業績予想は全アイテム超過達成。
というか、営業利益と最終利益は既に通年の目標を超えています。
よほど保守的な計画だったのでしょう。つまりあまり管理会計能力はなさそうです。
上振れたから良いものの、下振れも気にしない会社ということなのではないでしょうか。
しかも、既に営業利益と最終利益は3Q時点で達成しているにも関わらず、上方修正はなし。
少し財務能力は懸念される会社なのではないかと思われます。
業績予想から計算する経営指標
当四半期末時点における決算パラメタは以下の通り。
項目 | 情報ソース | パラメタ |
営業利益 | 業績予測 | 2,000 |
有利子負債 | 当決算期末残高 | 37,290 |
現金預金 | 当決算期末残高 | 4,020 |
株主資本 | 当決算期末残高 | 23,561 |
当期純利益 | 業績予測 | 1,200 |
総資産 | 当決算期末残高 | 88,601 |
発行済み株式数 | 当決算期末残高 | 10.097 |
支払利息 | 業績予測 | 136 |
減価償却費 | 業績予測 | 484 |
EPS | 当期純利益÷発行済み株式数 | 119 |
BPS | 純資産÷発行済み株式数 | 2,333 |
株価 | 直近株価 | 2,346 |
予想配当金額 | 決算短信 | 60 |
予想配当総額 | 1株当り配当×発行済み株式数 | 605.847 |
時価総額 | 株価×発行済み株式数 | 23,689 |
総資産88,601、株主資本23,561、自己資本比率26.6%とかなり低い。×
有利子負債37,290、D/Eレシオ1.58倍とかなり高い。×
流動資産83,242、流動比率94.0%と高い。○
ネットキャッシュは△33,270の大赤字。×××
財政状態はかなり悪い。この銘柄を今買う人の気がしれません。決算書をちゃんと見ているのでしょうか???
時価総額は236億円。そんなに価値があるのかどうか。私はないと考えます。
以下計算結果。
各指標 | ||
ROE | 自己資本利益率 | 5.09% |
ROA | 総資本利益率 | 1.35% |
PER | 株価収益率 | 19.74 |
PBR | 株価純資産倍率 | 1.01 |
ROIC | 投下資本利益率 | 2.12% |
WACC | 加重平均資本コスト | 1.14% |
EBITDA | 減価償却前営業利益 | 2,484 |
FCF | Free cash Flow | -10,832 |
EV | 企業価値 | 56,959 |
予想利回り | 2.56% | |
配当性向 | 50.49% |
ROE,ROAのスコアは良くない。×
グレアム指数19.8倍と割安。〇
EV/EBITDAは22.9倍と割高。×
PEGレシオは5.04倍と割高。×
FCFはなんと赤字。全然カネないのではないか。×××
ROICも大変低い。×
配当利回りと配当性向が無駄に高い。これだけカネがないのに、配当を払おうという財務方の考えがさっぱり理解不能。×
まとめ
買う理由が見当たりません。
百歩譲って、グレアム指数が20倍を下回っていることは好材料かもしれませんが、他のスコアが悪すぎでしょう。
自己資本比率は低く、D/Eレシオが高く、ネットキャッシュは大赤字。
財政状態はかなり悪いことは先述したとおりです。
加えて好調決算だと嘯くにもかかわらず、営業利益率が1.8%というのは低すぎる。
ROE,ROA,ROICも軒並み低い。
EV/EBITDAも割高。PEGレシオも割高。FCFに関しては△108億円の大赤字です。
他に、良い銘柄がゴマンとある中で、この銘柄を買おうとする人がなぜいるのか、理解に苦しみます。
私は商社などの卸売産業は今後ますます衰退していくと考えています。
製品卸というのは、仕入先のメーカーから高く買わされ、川下の小売業者には安く売らされるという宿命があります。
つまりマージン商売。利幅が薄くなるに決まっているのです。
今決算は多少ボリュームが増えたので、営業利益率がアップしましたが、それでも1.8%という低利益率。
スコアだけ見てしまうと、とても買う気なんて起きません。