【東海旅客鉄道】2017.9(2Q決算)

東海旅客鉄道の過去エントリはこちら。

http://tamojun51.com/archives/1155(1Q決算)

http://tamojun51.com/archives/893(前期年度決算)

当四半期累計での事業構成比はこちら。

事業構成比 売上 セグメント利益 構成比
運輸業 703,928 353,829 78.3%
流通業 117,579 4,254 13.1%
不動産業 22,285 9,083 2.5%
その他 55,750 2,441 6.2%
調整額 △ 77,419 0.0%

 

およそ8割弱の構成比を誇る運輸業、つまり東海道新幹線が主業である事は言うまでもない。

利益率が50.3%という恐るべき数字。

これはつまり、競合がいないため、乗車券や特急券をとにかく高く設定しているという事を意味する。

規制ビジネスでもあり、かつ、資本集約型産業でもある所以。

政治や法律や資金に守られた半官半民の社会主義的企業です。

国土交通省に上手く取り入り、超低利で資金を引っ張ったり(税金)、チケットの販売価格を高いままに据え置いたりしています。

言ってみれば資本主義の敵のような企業です。

以下、当社決算情報、定性情報は決算資料より。

単位は特筆なき場合、全て百万円とする。

 

経営成績

経営成績 売上 営業利益 当期純利益
当決算① 899,544 368,926 233,212
前決算② 866,744 334,700 214,982
業績予想③ 1,791,000 618,000 374,000
YoY 32,800 34,226 18,230
3.8% 10.2% 8.5%
③-① 891,456 249,074 140,788
進捗率 50.2% 59.7% 62.4%

 

対前四半期増収(+32,800、+3.8%)、増益(+34,226、+10.2%)

なんと増収よりも増益幅の方が大きいという現象が発生。

粗利率がどんどん上がっている。営業利益率は38.6%から41.0%へと2.4ポイントもアップしている。

普通の資本主義的企業でしたら、手放しで賞賛する数字ですが、この会社は単に、規制ビジネスで、販売価格を高止まりさせているだけ。取り立てて経営者が有能とかそういう話ではありません。

対計画数値の進捗率は、全てのスコアが軒並み過達。

これだけ資金にモノを言わせた資本集約型産業で、計画をショートさせていたら、さすがにおバカすぎますから。

 

当初業績予想から計算する各経営指標

当四半期末の決算パラメタ。

項目 情報ソース パラメタ
営業利益 業績予測 618,000
有利子負債 当決算期末残高 4,933,531
現金預金 当決算期末残高 3,474,135
純資産 当決算期末残高 2,941,254
当期純利益 業績予測 374,000
総資産 当決算期末残高 8,731,422
発行済み株式数 当決算期末残高 196.707
支払利息 業績予測 75,980
減価償却費 業績予測 209,156
EPS 当期純利益÷発行済み株式数 1,901
BPS 純資産÷発行済み株式数 14,952
株価 前日終値 20,785
予想配当金額 決算短信 140
予想配当総額 1株当り配当×発行済み株式数 27,538.971
時価総額 株価×発行済み株式数 4,088,554

 

総資産8,731,422、純資産2,941,254、自己資本比率33.7%、低い。

有利子負債4,933,531、D/Eレシオ1.68倍。少し高い。

国から低い金利でカネを引っ張れるのだから、借りなきゃ損です。この会社の場合。

流動資産3,810,642、流動比率43.6%

ネットキャッシュが△1,074,848で対総資産比が12.3%

借金が大きすぎるため、ネットキャッシュは赤字。

しかし鉄道運輸機構から借りたカネが4,933,531の内、3,000,000もあります。

いざとなれば、国民の税金による借金を踏み倒す事など、官僚も東海旅客鉄道も何とも思っていないので。

国からの借金などないに等しいのでしょう。

時価総額が4兆円超え。資本集約型産業なので、図体はバカみたいにでかい。

以下計算結果。

各指標
ROE 自己資本利益率 12.72%
ROA 総資本利益率 4.28%
PER 株価収益率 10.93
PBR 株価純資産倍率 1.39
ROIC 投下資本利益率 5.05%
WACC 加重平均資本コスト 0.97%
EBITDA 減価償却前営業利益 827,156
FCF Free cash Flow -875,971
EV 企業価値 5,547,950
予想利回り 0.67%
配当性向 7.36%

 

高い販売価格を規制で守られながら、高い営業利益率をたたき出している割には、そこまで大きくないROE,ROA.

これは借金が大きすぎるゆえです。

国から、3兆円以上のカネを引っ張ってきているので、そりゃ分母は大きくなるって話。

利益と比べれば、まだPERは割安でしょう。しかしケチだし規制産業なので、賢明な投資家はみだりに手は出しません。

ROICがまた低い。借金が大きすぎる。

EV/EBITDAは6.7倍と割安。割安が見つかっていないというより、企業としてあまり好感されていない事が大きいのではないかと感じます。私も東海旅客鉄道という会社やそこで働いている人たちが大嫌いです。

FCFが大きくマイナスなっています。これは投資CFでリニアにカネを突っ込んでいるからです。

配当利回りはたった0.67%ぽっち。配当性向は脅威の7.36%

投資家に本当は一銭だってカネなんてあげたくないというケチな悲鳴が聞こえてくるようです。

 

進捗率から計算する各経営指標

現状の進捗率から各業績予想パラメタを計算すると以下の通り。

修正業績予想 売上 営業利益 当期純利益
業績予想④ 1,799,088 737,852 466,424
④-③ 8,088 119,852 92,424

 

軒並み、計画を過剰達成。ほとんど官業のようなものなので、利益は全て税金として徴収したらいいと思いますが。

営業利益737,852、最終利益466,424の数字で各経営指標を再算出すると以下の通り。

各指標
ROE 自己資本利益率 15.86%
ROA 総資本利益率 5.34%
PER 株価収益率 8.77
ROIC 投下資本利益率 6.03%
EBITDA 減価償却前営業利益 947,008
FCF Free cash Flow -798,834
配当性向 5.90%

 

最終利益がポジティブになっているので、当然ROE,ROAも良くなっています。

それでもそこまで良いスコアではない。

PERも割安と言って良いでしょう。しかしリニアって儲かるんでしょうかね。

私は新幹線とカニバリズム(共食い)を起こすだけでそこまで収益性が高い事業とは思えないのですが、どうなのか。まあ技術にリスクマネーが供給される事自体は歓迎すべき話ではありますが。

営業利益もポジティヴなので、ROICも多少は良くなる。しかしこれだけの営業利益率でこのROICはかなりヘボ経営と言っていいでしょう。

EV/EBITDAは5.8倍。割安である事に間違いはない。

配当性向は更に下がり、なんと5.9%!

ケチすぎるでしょう。いくらなんでも。

 

まとめ

利益的には、借金が大きすぎて、資本コストがかなり悪くなってきています。

規制ビジネスの新幹線は絶好調ですが、他にも下手なくせに、多角経営していますから、不採算事業はもっとカットして、借金の返済やリニア事業のリスクマネー供給に回すべきでしょう。

広告とか出版とか、アウトソースすれば安上りなのに、(あるいは止めた方が良い)経営者の趣味などで続けていたりする。

まだ旧国鉄時代の借金ですら返済できていないのに、無駄かつ不採算事業を何で温存する余裕があるのか。

その分厚いツラの皮は一体どうなっているのか、理解に苦しみます。

新幹線は不可欠な社会的交通インフラなので、なくす事など間違ってもできませんが、経営主体を入れ替え、抜本的なリストラをすべき企業である事は間違いない。

あるいはカネのあるアメリカとか中国とかの外資にでも買収されてしまえばいいのに、と思います。

資金的には、4~5兆円あれば買えるのでは?(政治家や官僚がまたぞろ抵抗するでしょうが)

外資が経営したら、もっと絶対運賃は安くなるでしょう。不採算事業もすぐリストラしてくれます。

上記してきた理由から、ストック的には、まだ割安で放置されている企業なのですが、私は買いたいとは思いません。

ファンダメンタルズ分析的に見れば、優良銘柄だったとしても、カネを出すのは人間。

嫌いな経営者が経営している会社は買いません。

東海旅客鉄道は今は借金をしている場合ではなく、しゃかりきになって、旧国鉄時代の借金を返済するべき企業だというのは誰の目にも明らかだと思います。

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