【任天堂】2017.6(1Q決算)

言わずと知れたゲーム機ハード、ソフト総合首位。

過去記事⇒http://tamojun51.com/archives/802

最近は専ら「Nintendo Switch」絡みの報道が多い。

曰く品切れ続出だとか。私が塾で教えている中学生もみんな、欲しい欲しい言っています。

そのために貯金しているのだそうです。何ともいじらしい話ではある。

最近ではゲームと言うと、スマホでソシャゲで課金ガチャ。というビジネスモデルが殊の外多い印象でしたが、据え置き機でここまでメガヒットを飛ばしそうというのは我々ファミコン・スーファミで育ってミレニアル世代には嬉しいニュースなんではないでしょうか。少なくとも私にとってはそうです。

スマホゲームは入口は無料ですが、結局ある程度ゲームを進めていくと、課金しないと楽しめない仕様になっているのがほとんどですが、任天堂のパッケージハード・ソフトは違う。

ソフトを買ったら、子供たちはもうそれ以上のカネの出費は気にせず、心置きなくゲームの世界に没入できる。

その安心感。これこそ、the Nintendoという感じです。

ゲームを遊びたい子供たちのために、という最大にして最強の理念がこの会社にはあるのです。

ただカネ儲けをしたいだけだったなら、きっとスマホなどの汎用機向けのソフトを作っていたでしょう。

任天堂は自社の理念を押し通して、据え置きゲーム機の「Nintendo Switch」をリリースした。

やはり背骨に、そういった「憲法」を持っている会社が最後には勝つように、社会というのはできているのかもしれません。

資本主義というのは、実はそんな有機的で血が通った、とてもいいシステムなのかもしれません。

以下定性情報、数値情報は当社決算資料より。単位は特筆なき場合、百万円とする。

 

経営成績

経営成績 売上 営業利益 営業CF
当四半期① 154,069 16,208
前四半期② 61,969 △ 5,134
通年計画③ 750,000 65,000
①-② 92,100 21,342 0
成長率 148.6% 415.7% #DIV/0!
③-① 595,931 48,792
進捗率 20.5% 24.9%

 

対前期比で大増収(+92,100、+148.6%)、大増益(+21,342、+415.7%)

躍進の一番の要因はやはり「Nintendo Switch」でしょうか。

ハードの販売台数197万台。

ソフトの販売台数814万台。

「マリオカート8 デラックス」「ARMS」「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」等々。

供給を絞ってコレですから、一体全世界的にどこまで伸びるのか。検討もつかない。

投資家の期待値が上がるのも当然でしょう。

利益率も△8.3%⇒10.5%へとなんと18.8ポイントもの大躍進。すごい決算でした。

対計画においては、売上の進捗率が20.5%と少しショート。営業利益の進捗率が24.9%とほぼほぼ計画通りと見ていいでしょうか。

「Nintendo Switch」の供給をもっと増やせば、計画数値くらいは簡単にクリアできるように思えるのは素人考えなんでしょうかね。

営業CFは短信、四半期報告書どちらにも記載なし。

営業CFくらいは掲載して欲しいが。四半期報告書には、金商法的に掲載義務はなかったのでしたっけ。

営業利益と営業CFを比較する事で、粉飾とかしてないかどうか確認するのは財務分析の基本でしょう。

(売上を水増しして、売掛債権や棚卸資産にチャージされていないかどうか確認する)

これだけ高い株価の会社が営業CFを短信にも四半期報告書にも記載しないなんてちょっと財務IR的にどうなんでしょうか。私は非常に良くないと思います。

 

各指標

以下のパラメタを入力して、各指標を算出。

項目 情報ソース パラメタ
営業利益 会社業績予想 65,000
有利子負債 当決算期末残高 0
純資産 当決算期末残高 1,234,658
当期純利益 会社業績予想 45,000
総資産 当決算期末残高 1,475,601
発行済み株式数 当決算期末残高 120.057
支払利息 会社業績予想 0
減価償却費 会社業績予想 8,844
EPS 当期純利益÷発行済み株式数 375
BPS 純資産÷発行済み株式数 10,284
株価 前日終値 36,680
予想配当金額 決算短信 190
予想配当総額 1株当り配当×発行済み株式数 22,810.808
時価総額 株価×発行済み株式数 4,403,687

 

その結果。

各指標
ROE 自己資本利益率 3.64%
ROA 総資本利益率 3.05%
PER 株価収益率 97.86
PBR 株価純資産倍率 3.57
ROIC 投下資本利益率 3.39%
WACC 加重平均資本コスト 1.85%
EBITDA 減価償却前営業利益 73,844
FCF Free cash Flow 79,996
予想利回り 0.52%
配当性向 50.69%

 

①ROEとROA、超低スコア。無借金で、エクイティの規模が馬鹿でかい。アセットもかなりの金額。BPSは脅威の10,000円を超えている。理念は大変すばらしいモノを持っている会社だが、資本効率はとてつもなく悪い。このスコアだけ見ると、経営能力には少し疑問符はつきます。

②PERがとんでもなく高い。いくら何でも高すぎでしょう。また、これほど財務的に滅茶苦茶リッチな会社にも関わらず、PBRは3倍を遥かに超えて割高。いくら何でも高すぎ。ジャンピングキャッチもいいところです。

③ROICも低い。ROEが低いのだから当然だが。当社は無借金なので、つまり分母にはエクイティしかこない。それなのにこんなに低ROIC。経営陣はモノづくりは得意だが、経営はとんでもない素人なのではないか。辛うじて、ROIC>WACCとはなっているが、こんな低ROICでは将来利益を生み出せる会社とはとても思えない。ドル箱の「Nitendo Switch」、ハード自体はとても求心力が高いが、販売戦略他、色々間違っているように見えて仕方ない。やはり理念とカネ儲けとは両立しえない面も多いのか。

④バリュエーションが高くなりすぎて、利回りも良くない。1%未満。しかし反面、配当性向はバカ高い。これは、株価のバリュエーションが沸騰しすぎている証拠。早く消し止めないと大惨事になるのではないか。私はトウの昔に利確したので関係ないですが。

⑤EBITDAとFCFは似たような数字になった。これは、前期末と比較して、売掛債権の減少幅が大きかったためだ。金回りはいいという事。だから、営業CFもきっといい数字になるはず。何で財務諸表としてリリースしないのか、その財務戦略には首をかしげざるを得ない。作るのにそう大した手間のかかる財務諸表でもあるまいに。

総括すると、「とてつもなく高すぎる」。私なら絶対買わないでしょう。

 

理論株価

そう考えていくと、では理論株価はいくらなのか。

ここでは、「妥当PER×妥当EPS」でまず計算してみようと思います。

ここでの妥当PERとは日本取引所がリリースしている直近の業界(19その他製品)PERの平均である、21.1倍。

そして妥当EPSは上記により計算された、375円を用います。

すると、7912.5円が任天堂の理論株価となります。

現状36,000円の株価がいくら何でもこれでは低すぎやしないか、とも思いますが、36,000円がいくらなんでも高すぎです。

ただ少しEPSが低めに見積もられ過ぎかもしれません。

当四半期決算の純利益が21,795でした。単純計算で、これを4倍したものを仮の計画数値としてEPSを計算しなおしてみます。

21,795×4=87,180.これを保守的に85,000と仮に置きましょう。

するとEPS=85,000÷120.056885=707.9977⇒708円となります。

妥当PER21.1×708円=14938.8円。

当期純利益が超過達成されるという前提で理論株価を引き直しても、15,000円くらいのバリュエーションが関の山です。

ただし、この会社は財務内容が特別に良いので、(BPS=10,284)この15,000円のバリュエーションにこのBPSを加味してもいいかもしれません。すると、

15,000+10,000=25,000円。

どんなに頑張ってこじつけても、精々25,000円のバリュエーションが妥当なのではないかと思います。

いくら期待値が高いとは言っても、36,000円は根拠なく騰がり過ぎな気がしますが。。。

ただもしかすると、「Nintendo Switch」を私が過小評価しているだけなのかもしれないとも考えられます。

供給を絞らなければもっと売れるのかもしれません。売れないのかもしれませんが。

しかしそれでも、PERが100倍近くまで高騰してしまっている現状はバブルと言っても差し支えないのではないか、という印象ですね。

もし私が保有していたら利確するでしょうし、カネがあっても株には手を出さないと思います。

まずカネがあっても有効活用できていないですし。

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