ROEとは何かを考える

今朝の日経新聞にROEに関する記事が掲載されていましたのでご紹介。

「日本企業のROEはなぜ一桁なのか?」

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19367580Y7A720C1000000/

なかなかに分かりやすくROEを解説してくれているので助かる。本文によると、

12年度の上場企業の平均ROEは5.33%で、それが直近の16年度には8.68%にまで高まったのですから、ガバナンス改革の成果はそれなりにあったとみることもできるでしょう。しかし、バブル崩壊後の最高だった05年度の9.54%には届いていませんし、米国企業のおよそ半分にとどまっています。

日本のROEというのは、こと、米国企業のそれと比較すると、相対的に低いのだそうです。

アメリカのガンガンと伸びる株式市場を見ると、じゃあやっぱりROEは高い方がいいんだろうな、と感覚的には思います。

 

ROEの計算式

こちらの図表も同上の日経新聞の記事から拝借。

ご覧のとおりROEの計算式は、
売上高純利益率(%)×総資産回転率(回)×財務レバレッジ(倍)で求められる。
それでは、それぞれの指標の計算方法を下で詳らかにしていきたいと思います。

売上高純利益率とは

これは比較的に分かりやすい指標。

当期純利益÷売上高、で計算される。

この当期純利益というのは、損益計算書の一番下にくる数字。

売上高-売上原価-販売費及び一般管理費+営業外収益-営業外費用+特別利益-特別損失-法人税等

で計算される。課税所得に対して課税された法人税を差し引いた残り。

THE利益OF利益の事です。

利益を大きくする事が企業の至上命題ですから、これが大きければ大きい程いいというのは分かります。

 

総資産回転率とは

総資産回転率とは事業に投資した総資産がどれだけ有効活用されたか示す指標。

計算式は以下の通り。

売上高÷総資産

つまり、総資産が少なければ少ない程、このスコアは良くなるという事ですね。

日経の記事では、現在の日本企業はキャッシュを溜め込んでいるから、このスコアが悪化しており、以て、欧米企業と比較して、ROEが低いのだ、という論調です。

私は遊休不動産や、時価が下がって塩漬けにされている有価証券などがアセットにオンされていて、総資産が馬鹿でかい状態になっているので、総資産回転率が悪い、というのは良くない状態だと思います。

そんな塩漬けにしている資産はさっさと売り払って、カネを作って、再投資した方が、有益ではないか、と思うからです。

しかし、現状の企業にキャッシュが大量にオンされているのは、金融緩和によるカネ余りの影響が大きいのではないでしょうか。

Aという企業がカネを使っても、それはBという企業の懐に入る。

だから資産が右から左へ流れているだけに過ぎないのではないだろうか。

だからこそ、企業は従業員給与を上げるべきなのではないかと思いました。

給料が上がれば、みんな消費をするでしょう。それが巡り巡って、企業の売上増大につながるのです。

企業同士が持合い株式とかで、資産を右から左へ、という運用をしているだけでは、総資産回転率は良くならない。

さりとて、人件費などに大盤振る舞いをしていたら、利益を圧迫しかねない。

経営者は売上高純利益率と総資産回転率の間のトレードオフに悩まされているのではないでしょうか。

 

財務レバレッジとは

自己資本に対する事業規模を図る指標。計算式は以下の通り。

総資本÷自己資本

総資本とは、貸借対照表の貸方の金額の合計の事です。

分かりやすく簡単に言えば、「負債+自己資本(純資産)」の事。

だから計算式を書き換えると、

(負債+自己資本)÷自己資本

となります。よって負債が大きければ大きい程、財務レバレッジは大きくなる、という事です。

つまり、ROEを高くしろ、というのは、資金調達は株主の出資ではなく、なるたけ、借金で賄え、と言っているに等しいんですね。

何だかよくわからないな、と思ってしましました。

そもそも、株式投資で個人や機関投資家から、出資を募って、会社の利益を最大化させ、それによって、株式価値を増大させていくのが、資本主義市場における株式市場の役割なんですよね。

それが、結局株式出資を否定しているように見えるのですが。

それに、上記した、「総資産回転率」を言い換えると、総資産(現状で言うとキャッシュ)を減らせ、と言っており、「財務レバレッジ」を言い換えると、負債を増やせ、と言っているのと同義です。

これは、有体に言えば、企業に「貧乏になれ」と言っているのとほぼ同じなのではないでしょうか。

貧乏な企業は来たるべきタイミングで、するべき投資ができないでしょうし、筋肉質、というよりガリガリになってしまうのでは??

 

まとめ

以上から私が得たROE偏重主義の結論はこちら。

「ガリガリになっても売上と利益を増やすべし」

結局ROEを上げろ、というのはそういう事なのではないでしょうか。

しかしこれぞトレードオフの極み、というような気がします。

ある程度の投資余力を担保してこそ、次の大胆な投資につなげる事ができるわけで、そんな貧弱な財務能力で、売上や利益を成長させていく事って可能なのでしょうか。

とどのつまり、短期的投資家目線がROEなのだと言う事なのでしょう。

短期的裁定取引によって、日々の利鞘を稼ぎたい投資家にとっては、そういう意味で、ROE至上主義。

ボラティリティが大きければ大きい程にいい。

しかし、中長期的に企業をスケールさせたいと望む投資家にとっては、短期的なボラティリティの変動にはさしたる魅力はありません。

企業はカネが余ったら安易な自社株買いに走ります。それはデイトレーダーには嬉しい措置なのかもしれませんが、中長期的ファンダメンタルズ投資を行っている投資家にとってはそのカネの使い方はあまり嬉しくありません。

中長期的ファンダメンタルズ投資家は、むしろカネがあるのなら、配当に回して欲しいし、あるいはそのカネをR&Dにでも投資して、5年10年、あるいはもっと長いスパンにおける、成長の原資にしてほしいのです。

そうする事で、企業を大きく強くしてくれる事を望んでいるのです。

なので、安易なROE偏重思考は危険だと最近では思うようになりました。

現状の10%未満の日本のROEがちょうどいいというか、一番正常な姿なのではないでしょうか。

あまり過度にROEばかり高くする主に、資本政策中心の経営にはならないように一投資家としては切望しています。

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